侵害品とは知らないで購入した場合は商標法違反になるのか
商標権を侵害する商品があったとします。その商品が侵害品であるとは知らずにたまたま購入した商品が、実は商標権を侵害するものであった、とします。
この場合には商標権の侵害にはなりません。
ですから、どこかの商品を購入したことのみを理由として逮捕されたり、拘留されたりすることはないことになります。
侵害品を販売、輸入、輸出等する場合には問題になります
ただし商標権の侵害品を販売したり、日本国内に持ち込もうとしたり、逆に日本国内から外国へ持ち出そうとした場合には問題が生じます。
商標権を侵害している商品は、関税法により輸出も輸入も認められていないからです。
ちなみに関税法では、商標権を侵害する商品は輸入も輸出もできないことになっています。
条文上は、商標権を侵害するかどうかを知っているかどうかは要件にはなっていません。
このため問答無用で購入した商品を税関で差し押さえられてしまうこともあるのです。
(*商標権を侵害しない場合には、税関に疑われることはあっても商標権については結果的に問題になることはありません。)
また知らないで購入した商品がたまたま商標権を侵害する商品であった場合でも、その商品を販売する行為は商標権の侵害行為になります。
商品を販売することが商標権の侵害になるとは全く知らない場合でも、商標権の侵害により商品の販売ができなくなることがあります。
また商標法の第39条には「商標権を侵害したものは、その侵害の行為について過失があったものと推定する」という恐ろしい規定があります。
入手した商品が商標権を侵害するものであるとは全く知らなかった場合でも、商標権の侵害行為について過失がなかったことを立証できなければ、商品の差止だけではなく、損害賠償請求までも受けることになってしまいます。
ですので商売をする以上は、ご自身が扱う商品がニセモノなのか、本物なのかを見抜く目が必要になるのです。
ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
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