公的機関に提出する書面は、公的機関に受理された時点で手続きが完了するものが多いですが、商標登録の場合は異なります。

提出した願書が法律上の要件を満たしているかどうかが方式審査によりチェックされますが、提出した願書が方式審査をパスしたとしてもそれで商標登録されるわけではありません。

方式審査の後に続く審査官の審査にパスしないと商標権は得られないのです。

一度出願した商標を後で改変することは認められませんし、指定商品や指定役務の権利範囲を拡張することも認められません。もし出願した後に商標の改変が許されるなら、とりあえず「イロハニホヘト」等といった意味不明の商標を出願しておき、ライバルが後から出願してきた内容に合わせて先の「イロハニホヘト」の商標をライバルの商標に置き換えてしまうことができるからです。

さすがにこのような行為は特許庁では認めません。

後で変更できないわけですから、事前の準備が非常に重要になります。
・・・というか、ここがキモの部分になるわけです。

出願した商標が他人の商標権の権利範囲と抵触することを理由として商標登録が認められない場合、出願しても単に登録が受けられない、というだけでは済みません。

他人の権利を侵害する商標を使用すると、商標権の侵害の問題が発生します。

このため、事前によく商標の事前調査をしておく必要があります。
ここの調査をなおざりにしておくと、後で困ることになります。
最初にしっかり商標の調査を行っておくことが、時間や費用の節約につながります。

ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
電話03-5835-2773

お客さまからよくある質問として、

「平野先生に調べてもらった商標は他人の登録商標と似ているので特許庁で商標登録されない、という結果になりましたが、ネットで調べてみると多くの方が使っていますよ。ですから私も使ってもよいのでしょうか。」、

というのがあります。

場合にもよりけりですが、一般に使用する商標が登録商標と似ている場合でも、
その商標を使用する商品や役務(サービス)が、登録商標に指定されている商品等と全く関係ない場合には使用することができます。

例えば飲食店の役務について登録商標が存在する場合でも、
同じ商標を鉛筆等の商品に使用できる場合があります。

商品としての鉛筆と、役務としての飲食業とは互いに類似しないからです。
この様に、商標が使用できるかどうかは商標同士の類似関係だけではなくて、
商品・役務の類似関係も考慮して行う必要があります。

また登録商標と同じ商標について、登録商標と同じ指定商品に多くの方が使用しているのを発見したとします。

この場合には、多くの方が全員権利侵害をしている可能性があります。
他の人が権利侵害しているからこちらも権利侵害してもよいか、というとそんなことはありません。

大阪の御堂筋あたりで道路に違法駐車しているのと同じ状況です。

「他の連中も車を停めとるやんけ!」と大声で主張したとしても、
違法駐車していることに変わりはありません。

また登録商標について誰かが使用していたとしも、その行為は商標権の侵害にはならない場合もあります。

例えば、商標権者から正当なライセンスを受けて使用している場合とか、
商標権者から購入した商品を改変なく使用している場合等です。

商標権の侵害になるかどうかは色々な前提事項を検討しないと結論が出せないのです。
侵害になるかどうかの点について正に裁判所できゃんきゃん争うわけですから。

ほんの少しの前提事項のみで終局的な判断をなされないように注意してくださいね。

ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
電話03-5835-2773

お客さまからの相談でよくあるパターンを事例形式で説明します。
(なお、事例内容は仮想事例であり実際の例ではありません。)

お客さま:「平野先生、新たにとてもおいしいてりやきハンバーガーができました。このハンバーガーのネーミングを商標登録したいのですが。」

私:「どの様なネーミングをお考えですか?」

お客さま:「現在は【あおぞら照り焼きハンバーガー】という商標(説明のための仮想事例)を考えています。」

私:「では、【あおぞら照り焼きハンバーガー】という商標について、ハンバーガーで商標登録できるかどうか調べてみましょうか。」

お客さま:「平野先生、ところで【あおぞら照り焼きハンバーガー】という商標について商標権が得られたら、他人が【照り焼きハンバーガー】という商標を使用してハンバーガーを販売するのをストップすることができますか?」

私:「一般論ですが、【照り焼きハンバーガー】というのは商品の内容の説明ですから誰もが使用できる言葉です。ですから仮に【あおぞら照り焼きハンバーガー】について商標権が得られたとしても、【照り焼きハンバーガー】という言葉を他人が使用することをストップさせることはできないです。」

お客さま:「だったら【あおぞら照り焼きハンバーガー】について商標登録をする意味がないじゃないですか!!」

・・・というパターンの相談がときどきあります。

【あおぞら照り焼きハンバーガー】について商標権が得られたとしても、【照り焼きハンバーガー】との名称のハンバーガーの販売をストップできなければ【あおぞら照り焼きハンバーガー】について商標登録をする意味がないのでしょうか。

そんなことはありません。

まず一つ目の理由から。
【あおぞら照り焼きハンバーガー】という商標について商標権が得られたなら、商品【照り焼きハンバーガー】について商標【あおぞら照り焼きハンバーガー】との商標を使用できるのは商標権者だけです。

ですからお客さまが【あおぞら照り焼きハンバーガー】を食べたい、といえば、
その商標を独占的に使用できる商標権者の商品を買うしかないことになります。

次に二つ目の理由について。
【あおぞら照り焼きハンバーガー】が有名になって、次から次へと照り焼きハンバーガーショップがオープンしてきた場合ですが、これも全く問題ありません。

・・・というのは、【あおぞら照り焼きハンバーガー】がヒットしているのは他のハンバーガーにはない品質なり味なりコストパーフォーマンスなりが群を抜いているからです。

他の照り焼きハンバーガーショップがいくら増えようが、関係ありません。
勝負するところは他店にはない「品質」とか「味」ですから。

他の照り焼きハンバーガーショップがオープンするのは大いに歓迎するべきです。
というのは、競合の出現によってこちらの品質のよさや味のよさがさらに際立つからです。

次に三つ目の理由について。
【あおぞら照り焼きハンバーガー】について商標登録を済ませておく意味は現在では分かりません。

その意味が本当に分かるのは、商標登録の手続きを怠っていて、商売も繁盛してきたのでそろそろ商標登録でもするか、と商標調査を実施してみたところ、ライバルに先に【あおぞら照り焼きハンバーガー】の商標権を取られているのを知ったとき、です。

商標登録の本当の意味がわかるのは現在ではありません。
その意味がわかるのは将来のどこかの時点です。

未来を観ることのできる方のみが、商標登録の本当の意味に気が付くのではないか、と私は思っています。

ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
電話03-5835-2773

3月9日の朝日新聞の記事によると、「着メロ」の商標権がオークションで2件の合計で2550万円で落札されたとのことです。

もともとPHS事業者の旧東京アステルが保有していたものを引き継いだ会社がこの商標権を保有していましたが、税金の滞納により差し押さえられたとのことです。

この「着メロ」の商標権がオークションにかけられて2550万円で落札された、という話です。

商標権の性質は土地の権利と同じであると考えれば分かりやすいと思います。
誰かが無断で使用していたら出ていくようにいうことができますし(差止請求)、
これまで無断で使用していた料金を支払うようにいうこともできます(損害賠償請求)。

さらに他人に貸すこともできますし(ライセンス)、
売却することもできます(権利移転)。

商品名、会社名、サービス名等のネーミングはそれ自体で価値を持ちます。
ネーミング等の商標権は日常的に売買移転されています。

素敵なネーミングの商標等、みんなが使用したい商標であればその価値はどんどん上がっていきます。

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所長弁理士 平野 泰弘
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最近NHK等のテレビ番組で坂本龍馬等の歴史上の人物が注目を集めています。
このことに関連し、坂本龍馬や中原中也等の歴史上の人物の名前を商標登録することについて最近議論が活発になっています。

特許庁では「歴史上の人物の名称を使用した公益的な施策等に便乗し、その遂行を阻害し、公共的利益を損なう結果に至ることを知りながら、利益の独占を図る意図をもってした商標登録出願」については商標登録を認めない指針を昨年の10月に発表しています(商標審査便覧42.107.04 歴史上の人物名(周知・著名な故人の人物名)からなる商標登録出願の取扱いについて)。

この点について産経新聞の大坪記者から先日取材を受けました。
この記事は「郷土の偉人 商標登録めぐり食い違い」との題名の記事としてウエブ上から閲覧することができます。

地域振興の面からできれば歴史上の人物の名称を適切に商標登録により保護したいというのは当然あると思います。特定の業者が権利を独占するよりは地域の公共機関等が商標権を取得するという考え方もあります。

しかし特定の地域がそのような歴史上の人物の名称に関する商標権を取得した場合、その地域以外の地域では使用できなくなるといった問題もあり、話は単純ではありません。

誰にも権利を取らせない、というのも一つの方法ですが、例えば歴史上の人物の名を冠した粗悪な商品が大量に出回った場合、それを規制する方法がないというのも逆に問題になります。

どこまでのラインを商標権により保護し、どこからのラインを商標権により保護しないかの線引きは特許庁の審査方針により決定されてしまうわけではありません。審判や裁判実務の中でその審査方針が改定される余地も十分にあります。

ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
電話03-5835-2773

1月に入っても事務所はフル稼働のままです。
特許庁から頂いた1月の商標登録査定の件数は52件でした。

登録査定とは審査に合格したことを意味します。
この審査の合格通知が1月に52件届きました。

後は登録の手続きを完了させるだけで52件分の商標登録出願から52件分の商標権が生じます。

これもひとえに私どもの事務所に来てくださったお客さまとの共同作業により得られた結果であり、
事前の対応や特許庁からの指令対応に機敏に対応下さった方々に深く御礼申し上げます。

この様な素晴らしい実績を積み上げ続けることができるのも、私どもの事務所に集まるお客さまのおかげということができます。本当に感謝、です。

今後もファーイースト国際特許事務所はお客さま視点で
お客さまにとって大切な商標権をお届け続けます。

ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
電話03-5835-2773

あなたはご自身の業務に使用する商標をどの様な基準で選んでいますか?
私のところに相談にくる方の中には商標として品質表示や一般名称を選択される方がいます。

商標として単なる品質表示や一般名称を選択するのは作戦としてまずいです。

例えば、飲料水の商品に対して商標「アルカリ天然イオン水」、
缶コーヒーに対して「朝専用の缶コーヒー」、
携帯音楽再生機器に対して「携帯音楽再生機器」、
等の商標について権利を取りたい、と相談される方がいます。

(上記の例は説明のためのものですので、実際の質問内容は異なります。)

例えば本屋さんが一番欲しい商標は「本屋さん」であると思います。

仮に本屋さんの業務に対して「本屋さん」との商標権を取ることができれば、
事実上「本屋さん」の表記を独占することができるからです。

ところが本屋さんの業務に文字だけからなる「本屋さん」との商標を特許庁に出願しても、
特許庁では商標登録を認めてくれません。

あなた一人に本屋さんとの商標を独占させたなら、他の本屋さんが困るからです。

本屋さんの業務に「本屋さん」との名前で商売を始めるのは非常にまずいです。
この様な名前で商売を始めたなら、おそらく後で店が潰れることになります。

なぜなら、本屋さんの業務に「本屋さん」の商標は登録されませんので、他の人が「本屋さん」の商標を使用するのを止めさせることができないからです。他人にまねされ放題になるからです。

それだけではありません。
仮に「本屋さん」との名前で本屋さんを始めたとします。この場合、
消費者は口コミであなたのお店の評判を伝えることができません。

「あなたその本、どこで買ったの?」
「本を買いたいんだけど、お薦めのお店あります?」

とかの質問に対して、

「本屋さんで買った」とか、
「私のお薦めのお店は本屋さん」とか言っても意味が不明だからです。

あなたが選ぶべき商標は、その商標を見れば、あなただた一人に特定できるものである必要があります。

本屋さんの業務に「本屋さん」とのお店の名前を付けるのは、
自分の子供に「男の子」という名前を付けるくらいに罪が重いです。

自分の子供に「男の子」という名前を付けてはいけないことは、
自分の子供が迷子になったときに分かります。

周囲の人に尋ねてみてください。
「うちの男の子、知りませんか?」、と。

周囲の人のリアクションで、自分の子供に男の子という名前を付けてはいけなかったことに気がつくはずです。

「本屋さん」との名前を選択して業務を始めて、宣伝広告を行うとします。
この場合、最初にお客さまがこちらにくるように仕掛けをしておかないと、
お客さまが他の本屋さんに行ってしまいます。

「本屋さん」との名前を選択して業務を始めて宣伝広告を行うのは、
わざわざ他の本屋さんのためにお金を出してあげているようなものです。

お客さまが間違って他の本屋さんに行かないように、
本屋さんにタイトルを付けてあげる必要があります。

自分の子供に「男の子」とか「ぼく」とかの名前を付けるのではなく、
「イチロー」とか「ヒデキ」とかの名前を付けてあげる必要があります。
ただ一人に絞り込める名前ならなお良いです。

商品やサービスにたった一つの商標を与えておけば、その商標を目印にして
お客さまが間違うことなくこちらの商品にたどり着くことができます。

アップルコンピュータは携帯音楽再生機器を「携帯音楽再生機器」という商標で販売したりはしません。
アサヒ飲料は朝専用の缶コーヒーを「朝専用の缶コーヒー」という商標で販売したりはしません。

アップルコンピュータの場合は最初に商標を聞いただけでは携帯音楽再生機器を連想させることのない「iPod」という商標を付けています。

またアサヒ飲料の場合も商標を最初に聞いただけではコーヒーを連想させることのない「ワンダ」という商標を付けています。

アップルコンピュータもアサヒ飲料も、お客さまが間違うことなく自社の商品にたどり着くことができるように、わざわざ商品の性質とは関係のない商標を選択しているのです。

あなたが商標を選ぶときも同じです。

お客さまが間違うことなく一直線にあなたの下にくることができる商標を選ぶ必要があります。
一般名称やみんなが多く使用する商標を選択していたのでは商標権も得られないばかりか、お客さまがあなたのところに来る前に他の業者に吸い取られてしまいます。

あなたが選ぶ商標は、闇夜の中に輝く灯台の様な目印となりうるものです。
どうしてお客さまが寄り道してしまうような一般的な名称を選ぼうとするのですか?
それ、間違っていますよ。

お客さまが寄り道することなく一直線にこちらにくることができる商標を一緒に育てていきましょう。

ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
電話03-5835-2773


弁理士 平野 泰弘

平野泰弘弁理士

  • 日本弁理士会所属
    特定侵害訴訟代理業務付記弁理士
  • 大阪大学大学院理学研究科
    博士前期課程修了
  • 旧財閥系総合メーカー東京本社知的財産部社内弁理士を経て当事務所開設
  • 三井住友銀行グループSMBCコンサルティング ビジネストレンド多数執筆

執筆紹介

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【経済界に掲載されました】

平野泰弘弁理士のロングインタビュー掲載
(*表紙は別の方)

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  • 商標権侵害対応
  • 商標権のライセンス
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4月20日から特許庁への入館方法が変わります。
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【Right Now!に掲載されました】

知的財産関連雑誌Right Now!に平野泰弘弁理士の記事が掲載されました。

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