商標法は条文に始まり条文に終わる。条文を離れた自己解釈ほど危険なものはない。商標に関連する仕事は簡単ではないが、道に迷うことがあったら直ぐに条文に戻るように心がけて欲しい。

以下に商標法の条文について説明する。各条文の趣旨については特許庁編「工業所有権法(産業財産権法)逐条解説(第十七版、発明協会発行)」の説明を引用した。この工業所有権法(産業財産権法)逐条解説は通称青本と呼ばれる基本書である。知的財産関係の職業に従事するものはこの青本を繰り返し何度も参照し、暗唱できる程度に身につけておくべき書籍の一つとされる。青本を手元において熟読し、ここに記載した各条文およびその趣旨についていつでも説明できるように日頃から条文に親しむようにお願いしたい。

 第一章 総則

第一条は商標法の目的を掲げたものである。平成3年の改正においてサービスマーク登録制度を導入したことにより商標法の保護を受ける商標は商品および役務の双方となった。

(目的)
第一条  この法律は、商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする。

第二条の趣旨は、商標法の解釈および運用について基本的な概念となる「商標」、「登録商標」および「標章」についての「使用」の三つについて定義を与えるとともに、商品に類似するものの範囲および役務(サービス)に類似するものの範囲について解釈規定を設けることにより、その意義を明確にし、法の正しい適用を担保しようとするものである。

(定義等)
第二条  この法律で「商標」とは、文字、図形、記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合(以下「標章」という。)であつて、次に掲げるものをいう。

  • 一  業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用をするもの
  • 二  業として役務を提供し、又は証明する者がその役務について使用をするもの(前号に掲げるものを除く。)

2  前項第二号の役務には、小売及び卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供が含まれるものとする。
3  この法律で標章について「使用」とは、次に掲げる行為をいう。

  • 一  商品又は商品の包装に標章を付する行為
  • 二  商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為
  • 三  役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物(譲渡し、又は貸し渡す物を含む。以下同じ。)に標章を付する行為
  • 四  役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付したものを用いて役務を提供する行為
  • 五  役務の提供の用に供する物(役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物を含む。以下同じ。)に標章を付したものを役務の提供のために展示する行為
  • 六  役務の提供に当たりその提供を受ける者の当該役務の提供に係る物に標章を付する行為
  • 七  電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によつて認識することができない方法をいう。次号において同じ。)により行う映像面を介した役務の提供に当たりその映像面に標章を表示して役務を提供する行為
  • 八  商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為

4  前項において、商品その他の物に標章を付することには、商品若しくは商品の包装、役務の提供の用に供する物又は商品若しくは役務に関する広告を標章の形状とすることが含まれるものとする。
5  この法律で「登録商標」とは、商標登録を受けている商標をいう。
6  この法律において、商品に類似するものの範囲には役務が含まれることがあるものとし、役務に類似するものの範囲には商品が含まれることがあるものとする。

弁理士 平野 泰弘

平野泰弘弁理士

  • 日本弁理士会所属
    特定侵害訴訟代理業務付記弁理士
  • 大阪大学大学院理学研究科
    博士前期課程修了
  • 旧財閥系総合メーカー東京本社知的財産部社内弁理士を経て当事務所開設
  • 三井住友銀行グループSMBCコンサルティング ビジネストレンド多数執筆

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