商標とは?今更聞きにくい基本から最新の知識まで、弁理士が徹底解説!

商標とは一体なんでしょう?普段から当たり前のように使っている言葉ですが、あらためて聞かれると、正確には理解できていないことが多いです。 商標にはどういった役割を持つのか、どういった種類の商標が存在するかなどの基本知識をまずは押さえましょう。そして、最近では新しい商標に関する制度もできているので、知っておくと役立ちます。今回は、商標の基本から登録方法、新制度まで、プロの弁理士が徹底的に解説します。

*2017.9.23改訂 *2017.4.7改訂

1.つまるところ商標とは?

1-1. 商標は、別の商品と違うことを示す迷子防止のための目印

商標(しょうひょう)とは、業務で取り扱う商品とか役務(サービス)を、他の業者の商品やサービスと異なることを示すために使う標識になります。

ここがポイント!

商標とは、多量の他社の商品・役務の中から、需要者に一撃でこちらの商品・役務を見つけてもらうための識別標識

商標が存在する目的は、商標を決まった商品やサービスに使って、自社の商品やサービスが同業他社の商品などに埋もれて迷子になることを防ぐためです。

つまり、同じ場所にあるたくさんの商品やサービスが入り乱れて、自分のものと他人のものが入り交じっているときに、自己の商品やサービスを間違えずに探し出す目印の役割を担うもの、それが商標になります。

例えば、お米が入った同じ大きさの袋が大量に積み上げられている場面を考えてみましょう。このとき、お米の袋に何の目印もなければ、袋に入ったお米だけを見ても、どれが自分のほしいお米なのかがわかりません。

ここで、お米の袋に、「コシヒカリ」とか「ユメピリカ」などと書いてあったら、それぞれのお米の産地や品質などの特徴がわかり、自分の好きなものを選ぶことができます。

この場合の「コシヒカリ」や「ユメピリカ」が商標です。このように、商標は、同じような商品やサービスが大量にある中から、本当に欲しいものや自分の商品・サービスを選ぶヒントになるのです。

お客さまがこちらの商品を選ぶ手がかりになるのが商標なんだ。

他社の商品ではなく、こちらの商品を素早く見つけてもらうために商標を使うんだね!

1-2.商標は、保護しなければ意味が無い

商標には宣伝効果も期待できます。同じ商品でも、それに見合った適切な商標やウケる商標をつけると、爆発的なヒットが生まれることがあります。商標のつけ方1つで、商品やサービスの売れ行きが全く変わってくるのです。
ただ、素敵な商標を選んだとしても、それを保護していないと、他人が真似するおそれがあります。せっかく素敵な商標を作って一時的に売上げが上がっても、すぐに真似されて類似のものがたくさん出てきたら、もともとの商標が目立たなくなってしまい、意味が無くなります。

簡単にまねされやすい商標を大切に育てるために、商標登録制度が生まれました。商標登録すれば、他人が無断でその商標やそれと類似した商標を使えなくなるので、適切に商標を保護することができます。
商標を作ったら、必ず商標登録することが最初の一歩です。

商標を使っているだけでは商標権者になれないのね。

特許庁に商標登録をしなければ、商標権者になれないことに注意が必要だね。

1-3.商標を作るときのポイント

商標一つで自社の売上げが大きく変わります。そこで自社で商標を作るときには

  • ウケる良い商標を作ること
  • 早期に商標登録して保護すること

の2点が重要なポイントです。

他社がどのような商標を使っているか調べてみるのも一つだね。

良い商標は他社にすぐに取られてしまうから、取られる前に押さえよう。

2.商標に求められる要素とは?

商標について保護を受けるためにどういった要素が求められるか、みていきましょう。

2-1.商標といえるには?

商標は、「標章」によりできています。標章は、文字、図形、記号、色彩等やこれらを結び合わせたものをいいます。平面的なものに限らず、立体的なものでもかまいません。ホログラムや音も標章に入ります。

また、人間が認識可能である点も求められます。

商標として認められる対象を、以下に示します。

従来から認められていた商標

文字商標

たとえば、「FarEast」などの文字の商標です。

図形商標

図形商標とは、イラストで表現されるロゴの商標等があります。

記号商標

紋章等の文字以外で何かを示す記号の形の商標があります。

立体商標

立体的な物が対象になる商標です。ケンタッキーフライドチキンのカーネルおじさんの像や、コカ・コーラのガラス製のびんなどが例となります。

組み合わせ商標

文字、イラスト、立体を結び合わせた商標もあります。

上記の文字、図形、立体、組み合わせの商標は、これまで守られてきました。

新しく保護されるようになった商標

次に紹介する商標は、平成26年から追加的に認められるようになったものです。

動き商標

テレビやパソコンのモニター上などで動く商標が認められるようになりました。

ホログラム商標

見る角度によって異なる見え方をするホログラムの商標です。

音商標

従来は音の商標は認められませんでしたが、今は音も商標登録の対象です。

位置商標

位置商標とは、商品内の特定の場所へ配置された商標です。以前より使っている商標でも、特定の場所に付ける商標なら、位置商標の登録が必要です。

色彩商標

色彩だけについても、商標登録することができます。

海外には匂いを商標登録の対象とする国も存在しますが、検討の結果、日本での香りの商標の保護制度の導入は見送られた経緯があります。

文字、図形、記号などでてきているのが商標なのね。

平面だけでなく立体のものや、音なども商標になるよ。

2-2. 事業に使用されること

商標として認められるためには、それが事業に使用されていることが必要です。
そもそも、商標制度の目的が、事業者の商品やサービスを他の事業者のものと区別して、消費者の誤認を防ぎ、健全な取引や競争を守るものだからです。
そこで、個人的な趣味で使っているロゴや友人同士でやり取りしているLINEやメールの中に記号やイラストを使ったとっても、それは商標とはいえないですし、商標登録もできません。

逆に、このような私的な場面で登録済みの企業の商標を掲載しても、商標侵害にはならないので、警察に逮捕されることもありません。
ただし、個人的な利用とは言っても、たとえばオークションなどに繰り返し出品していて、すでに事業と同じような状態になっているケースなどでは話が別です。
この場合、個人間のオークション目的であっても、他社の商標を勝手に使ったら、商標権の侵害となり、警察に逮捕される可能性があります。

2-3. 特定の商品や役務に使用されること

商標と言えるためには、営業者が商標を商品やサービスについて使う点も必要です。

具体的な商品とかサービスに関する権利だから、商標権を得るには、商標を使用する商品やサービスを事前に決めておかなくてはなりません。具体例は、パンの製造や洋菓子の販売、クリーニングやエステ、英会話などです。登録を終えたカテゴリと違うところでは、その商標は保護の対象外です。

さらに、商標登録したなら、継続的に商標を使うことも要求されます。
いったん登録を終えても、登録した商標そのものを使わないなら、商標登録を取り消される可能性も存在します。

商標は、事業として、商品や役務に使用するものなのね。

商標を登録しても日本国内で三年間使っていないと、他社から取り消しを請求されることがあるよ。

2-4. 有名な商標の具体例

下記の各商標は有名な商標の具体例です。

文字にデザインを加えた商標、図形のみの商標、キャラクターデザインだけの商標、キャラクターデザインに文字要素を加えた商標も、商標法により保護を受けることのできる商標の対象となります。

famous_trademark
特許庁の商標公報・商標公開公報より引用

文字や図形だけでなく、キャラクターも商標登録されるのね。

キャラクター画像だけでなく、名前も合わせて商標登録できるんだ。

3. 商標の種類

商標は、一つは商品の商標、残りはサービスの商標に分けられます。
商品の商標は、たとえばうどんやラーメン、パンやドライヤーなどの「物」に対する商標です。これに対し、サービス(役務)の商標とは、エステや美容院、英会話などの「サービス」に対する商標です。
わかりにくいのは、パンを製造販売するケースなどです。このとき、「パン」そのものには商品の商標登録が必要になりますし、パンを販売することについては、「パンの販売」という役務の商標登録が必要になります。

どちらか一方しか登録をしないと、登録していないカテゴリでは商標権を失うので、注意しましょう。

関係する指定商品や指定役務は同じ区分にない場合があるのね。

権利全体を幅広くみておかないと、権利の取得漏れが起きる危険があるよ。

4. 商標の機能

次に、商標の機能をみてみましょう。

商品識別機能

自社の商品やサービスと他業者の商品やサービスを見分ける機能がこれです。商標があれば、自社の商品やサービスを他社のものと異なることが一目で分かるので、差別化できます。

出所表示機能

同じ商標がついた商品やサービスは、同じ事業者が提供したことの証しです。

品質保証機能

同一の商標がある商品やサービスであれば、一定の品質があることを事前に知ることができます。

広告宣伝機能

効果的な商標をつけることにより、自分の商品の魅力を高めて購買意欲を高めるられます。これにより、ヒット商品が生まれることもあります。

商標には商標ならではの機能があるよ。

自他商品識別機能、出所表示機能、品質保証機能、広告宣伝機能だね。

5.商標登録のメリット

次に、商標登録のメリットを見てみましょう。

5-1. 独占的に利用できる

まず、商標登録をすると、その商標を自社で独占可能です。他社は、一致する商標に限定されず似た商標も表示できません。もし、不当に侵害された場合には、商標権侵害を理由として差し止めや損害賠償請求が可能です。

5-2. 自社の信用が高まる

また、商標登録すると、Rマークをつけることなどにより、社会に商標のアピールができます。すると、信用のアップにつながりますし、他社を牽制することも可能です。

5-3. 財産的価値がある

さらに、商標権は財産なので、会社の資産となりますし、ライセンスもできます。

5-4. 半永久的に権利を維持可能

商標は、10年ごとに更新を重ねられるので、ほぼ永久的に権利として認められます。著作権のような期限はありません。
上記の通り、商標登録には数多くのメリットがあるので、自社で商標を作ったら、ぜひとも商標登録すべきです。

商標登録すれば、独占的に商標を使用できるのね。

ライセンスして収入を得ることもできるし、売却して収益を得ることもできるんだ。

6.特許庁の審査に合格できる商標とは?

商標登録の前提として、特許庁での審査に合格する必要があります。そこで、以下では特許庁の審査を突破できる商標がどのようなものなのか、審査に合格するための条件をご説明します。

6-1.自分の商品やサービスと他人のものを区別できる(識別力)

一般名称・普通名称はNG

まず、商標登録の審査突破には、自社の商品やサービスと他社のものを選別可能なことが条件です。選別可能な点を、商標の識別力と呼びます。

通常、一般名称や普通名称は商標登録の対象外です。たとえば「みかん」や「お米」などです。これらの名称は、公共で共有される財産であるため、特定の企業が独占すべきではありませんし、これらを商標登録したとしても、他社のから自社のものを選別できないです。

みかんに「みかん」という商標をつけたり、北海道産のお米に「北海道」という商標をつけたりすることはできないということです。このような商標を見ても、そのみかんが他のみかんとどう違うのかがわかりませんし、お米については、単に北海道産のお米のことかと思ってしまいます。

説明だけの商標はNG

同様に、商品やサービスの説明に終わる商標も登録の対象外です。たとえば、整体業において、「マッサージ」という商標登録はできませんし、お菓子を売るときに「手作りスイーツ」、ホテル業をするときに「格安ホテル」などという商標登録をすることもできないのです。

ただし、このような説明の文字であっても、図形やマーク等を追加して独自性が認められたら、一般名称ではなくなるので、審査に合格できることがあります。

6-2. 他人の商標権と抵触しないこと

次に、他人の商標権の内容と衝突しないことも要求されます。既に他社が商標登録していると、それと同じ商標だけではなく類似した商標も登録の対象外です。

ただ、カテゴリが違っていたら、類似商標であっても登録可能です。
まとめると、商標登録の対象外になるのは、

  • 商標自体が一緒か似ているケース
  • 商標のカテゴリが、先行の商標のカテゴリと同じか似ているケース

の両方に該当する場合だということになります。

6-3. 実際に商品や役務に使う商標であること

商標登録が認められる条件の一つは、実際に商標を商品やサービスに使う点です。単に「ロゴを作ったからとりあえず商標登録する」というのでは特許庁の審査で弾かれます。

たとえば、思いついたものを次々に商標登録申請すると、特許庁から、本当にそんなに商標を使用するのかと疑われることもあります。
その場合、審査官に実際に利用する目的や予定があることを納得してもらえないと、審査に合格できなくなります。

6-4.公益に反する商標は登録できない

以上の条件を満たす場合であっても、公益に反する商標は登録の対象外です。

たとえば、国旗と同じや類似した商標や、人権差別的な用語や卑猥な文字、図形などを使った商標があります。
また、商品やサービスの内容を誤解させる商標登録も認められません。たとえば、ビールに「ウイスキー」などと表示するケースです。

商標登録したいときには、最低限上記の条件をクリアすることが要求されます。
自分では判断が難しい場合には、弁理士に相談すると良いでしょう。

審査に合格するために商標にも条件が課せられるのね。

他人の有名な商標を横取りするような商標は登録できないよ。

7. 商標登録の方法

それでは、実際に商標登録をしたい場合、どのような手続きを踏めば良いのでしょうか?以下で見てみましょう。
日本では、商標は特許庁で一括管理されています。そこで、商標登録を進めるためには特許庁に商標の申請手続きを行うことから全てが始まります。

ただし一緒の商標や似た商標があるなら審査で落とされるので、最初は特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/all/top/BTmTopPage
において、似た商標があるのかを調べます。

似たものがないなら、出願書類に記入して、必要書類を揃えて特許庁に提出します。このことを、出願と言います。

出願すれば、特許庁にて審査が順番に実施されます。このとき、上記で説明したような要件を満たすか、問題がないかが調べられます。そして、審査を無事突破したら、商標登録されます。
商標の出願と登録の際には、特許庁に納入する手数料が必要です。

商標出願料は、3400円+(8600円×区分数)です。

区分とは、商標登録のカテゴリを意味します。

商標登録料は、28200円×区分数となります。これは10年分の金額であり、5年ごとの分納にするなら1回16400円がかかります。

商標は10年ごとに更新する必要がありますが、更新登録申請料は38800円×区分数となります。これについても5年ごとの分納が可能で、その場合1回分が22600円かかります。

まずは登録できるかどうか、商標の検索・調査が必要ね。

商標権を得るためには特許庁へ、出願して審査に合格する必要があるよ。

8. 新しいタイプの商標について

8-1.新しいタイプの商標とは

さきほど、2の商標の対象のところで説明をしましたが、平成26年から新しいタイプの商標が認められるようになったため、これについてもう少し詳しく説明します。

現代社会では、いろいろなタイプの商標が登場してきているため、従来の文字やイラスト、立体やその組み合わせだけでは対応が難しくなり、新しいタイプの商標を保護する段階まで至りました。

詳しくは「特許法等の一部を改正する法律」という法律(平成26年5月14日施行)による商標法の改正があり、新制度が開始しました。

新しく登録が認められる商標は、以下のとおりです。

動き商標

これは文字や図形などが時間の経過にともなって動く商標です。たとえば、テレビやパソコン画面写る文字や図形などのことです。

ホログラム商標

これは、文字や図形等が見る角度に依存して変化するホログラフィーなどの手段によって変わる商標です。

色彩のみの商標

単色や複数の色の組合せだけの商標です。たとえば、商品を包む包装紙や看板に使う色合いが特徴的な場合などに商標登録できます。

音商標

音声や音楽、自然音などの商標です。聴覚で認識できるもので、たとえばCMの特徴的なサウンドやパソコンを起動するときの音などが代表的です。

位置商標

ある商品において、文字や図形などの標章を表示する場所を決めた商標です。

8-2.新しいタイプの商標の審査は?

新しいタイプの商標では、審査方法に注意を要します。音や色彩、動きが商標登録できるといっても、どのようなものでも認められるわけではありません。これらは、文字やイラストなどよりも他社商品やサービスとの識別能力が低いことが多いため、これまでの文字やイラストによる商標などより審査が厳しくなるとの見方もあるのです。

以下に、国が発表している新しいタイプの商標の審査手順をみてみましょう。

まず、動き商標やホログラム商標、位置商標は、これらを形作る文字や図形が他社商品などと選別不能なら、他の商品やサービスとの識別力がないと考えられて商標登録の審査で不合格になります。登録に向けて、動きや画像の変化自体に着目するのではなく、文字や図形などの商標を形作る要素にも着目して、他社の商品やサービスと明確に異なることが分かる点が求められます。

色彩のみの商標のケースでは、原則として他社商品やサービスとの識別が難しいと審査の段階で扱われます。そこで、たとえば継続的な使用をして識別力がついた時点などにおいて、ようやく商標登録にたどり着けます。
さらに、音の商標登録に関しても、その商品が普通に発する音や単音、自然音や楽曲の音などには、原則として他社商品やサービスとの識別力が否定されます。そうではなく、たとえば、言葉を特徴的なメロディに乗せるようなケースで音商標が認められます。

文字・図形・記号以外に商標登録が認められるようになったのね。

音の商標、動きの商標、色彩だけの商標なども登録が認められるよ。

9.小売等役務商標制度とは?

9-1.小売等役務商標制度とは

次に、小売等役務商標制度について、ご説明します。
これは、平成19年4月から新たに始まった制度で、現在制度開始後10年が経過しています。

小売業者や卸売業者が店の看板や店員の制服、ショッピングカートなどに使う商標を、小売サービスという一括のカテゴリで役務商標と考えて登録の対象とします。

小売役務商標のシステムが始まる前は、小売業者の商標は、取扱商品の商標登録以外に対応方法がありませんでした。そこで、商品の値札やチラシに商標を示すことは可能であっても、店員の制服やショッピングカートに商標を付けたとしても、そこまでは商標権によりガードすることができませんでした。

また、商標登録はカテゴリ別になっているため、取扱商品が多数あるケースではすべての商品を対象に商標登録することを強要され、多額の費用や労力がかかって負担になっていました。

そこで、小売等役務商標登録制度では、今までは保護の対象になっていなかった店員の制服やショッピングカートなども対象にします。また、「小売サービス」というカテゴリをもうけて、そのカテゴリに商標登録をすると、一括で取扱商品すべてに関する役務(サービス)について商標を利用できるようにしました。

こういった施策により、小売業者は「小売サービス」で商標登録をすれば、1回分の費用と労力で済みますし、これによってすべての取扱商品に関するサービス提供について商標表示することができて、より強く保護されることになります。

9-2.小売等役務商標制度の対象となる業種

小売等役務商標制度の対象となる業種は、以下のようなものです。

  • 衣料品店、眼鏡屋や家具屋、本屋、家電量販店など
  • 八百屋や肉屋、酒屋など
  • スーパーやコンビニエンスストア、百貨店やホームセンター
  • 卸問屋
  • カタログ販売、テレビショッピング、インターネットショッピング

なお、この制度が施行された平成19年4月1日以前から使っていた商標については、それまで使っていた範囲内なら、制度の施行後も継続して使用可能です。これまで使っていたのに後から、他社商標への侵害になるトラブルも解消します。

10. 地域団体商標制度とは?

小売役務商標制度は、小売業にとって強力な保護ツールになるね。

それぞれの商品区分に登録しなくても、小売役務商標の区分一つのみを押さえることで保護が受けられるよ。

最後に、地域団体商標制度をご紹介します。

10-1.地域団体商標とは

地域団体商標制度とは、地域の事業者が地域の特産物などに「地域名+商品・サービス名」をつけて商標登録をすることができる制度で、平成18年4月1日に施行された、新しい法律による商標です。

この地域団体商標であれば、たとえば「東京リンゴ」などの商標登録ができます。

この制度が作られた理由は、以下の通りです。

従来の商標登録制度においては、一般名称や生産地名そのものは、業務に使う商標としての識別力がそもそもないので、商標登録の対象外でした。

ところが、近年では地域興しが盛んになっていて、地域の特産物などを他地域のものと区別するための、いわゆる「地域ブランド」がたくさん作られています。そして、地域ブランドでは、地域を強調する必要があるので、通常地域名こみで、簡単に消費者にアピールできるため、実際に扱う商品やサービスの名前(一般名称)をそのまま使っていることも多いです。すると、このような地域ブランドには他の商品サービスとの識別力がないと判断されたり、特定の人が独占すべきではないと言われたりして、商標登録の対象外でした。

そこで、地域ブランド育成を目的として、一定の条件のもと、地域名と商品やサービスの名称を結び合わせた商標登録が許可されました。これが地域団体商標制度です。

10-2.地域団体商標制度を申請できる人

地域団体商標制度を利用して商標登録の出願申請できる人は、限られています。

具体的には、以下の通りです。

  • 地域の事業協同組合や農業協同組合などの組合
  • 商工会、商工会議所
  • 特定非営利活動法人(NPO 法人)
  • 上記に相当する外国の法人

もともと事業協同組合は登録できましたが、平成26年8月1日からは、商工会や商工会議所、NPO法人(特定非営利活動法人)やそれらに相当する外国法人でも、地域団体商標を申請できます。

10-3.地域団体商標登録の審査を通過するための条件

地域団体商標登録を実現するためには、次の条件のクリアが要求されます。

  • 出願権のある団体が、その商標を団体の構成員に使用させること
  • 原則的に「地域名+商品・役務名」の文字による商標であること
  • 商標を、その商標に含まれる地域に密接な関係のある商品やサービスに使用されていること
  • 一定の地理的な範囲において、ある程度周知されていること

ここで列挙された条件をクリアしたら、以前では「一般名称」であるとして審査を突破できなかった地域ブランドでも商標登録が可能となり、商標としての保護を受けることができます。

地域興しや地域の活性化にも役立つので、地域づくりに取り組んでいるなら、是非とも利用を検討することをおすすめします。

11. 商標のことを正しく知って、上手に使いこなそう!

以上のように、商標については知っているようで知らないことが非常にたくさんあります。

自社で商標を作ったら、他社との差別化をはかり、他人からの侵害を防ぐためにも是非とも商標登録を行うべきです。また、上手に商標を使うと広告宣伝効果も高く、自社商品やサービスの売上げアップにもつながります。

また、商標として登録できる対象も、今は動きや音、色彩などにも広がり、バラエティ豊かです。地域ブランドも地域団体商標制度によって商標登録することができます。

商標登録すれば、社会での信用も向上し、売却可能な商標権という名前の財産も得られます。

今まだ商標がない会社や事業者、団体の方は、これを機会に是非とも商標登録を検討してみてはいかがでしょうか?

従来は登録が認められなかった、「地名」プラス「普通名称」の商標の登録が地域団体商標で認められるのね。

ただし地域で一体にまとまって申請しないと、地域団体商標の審査に合格できないよ。

ファーイースト国際特許事務所

平野泰弘所長弁理士