商標のRマーク(Ⓡ)が何か、すっきり分かる

皆さんは、Microsoft® のように、会社名や商品名の後ろに(R)マークが、丸囲みで表示されているのを見ると思います("Ⓡ"のマークのことです)。(R)マークの記号はそれが表示された名称が、登録済みであることを示します。(R)マークは、その商標は登録商標マークで、商標権が既に存在することを伝えるメッセージの役割を持ちます。

*2017年2月22日改訂

Rマークの意味。

商標は登録されれば、他人が勝手に使用することは出来ません。Rマークを表示するのは、それが自分だけが使える登録商標であることを示し、権利侵害を防ぐことを目的にしています。

しかしながら、Rマークは米国等の表示方法に過ぎず(R=Registered trademark)、日本の商標法ではRマークに関する表示義務は、明記されていません。それでは、どのようなマークの表示が必要なのでしょうか? 順序立ててご説明していきます。

マークの表示義務。

日本の商標法は、次の3点を定めています。

  1. 登録商標である旨を表示するように、努めなければならない(商標法73条)
  2. 具体的には、登録商標の文字及びその登録番号を表示する(施行規則第17条)
  3. 登録されていないのに、登録されていると誤認を招く表示は禁止されており(商標法74条)、これに違反すると懲役刑を含む刑事罰の対象になる(同法80条)

つまり登録商標については、それが登録されていることを表示する努力義務がある、ということです。

これを分かりやすく説明すると、マークの表示はあくまで努力規定であり、法令上の推奨表示は、次のような記載です。

「○○○○」は、XXX社の登録商標です(登録番号第・・・・・号)。

ただ実務の視点で見れば、この表示事例は文字数が多く、記載スペースがとれないことも多いです。そこで一般的に(R)マークが使われています。(R)マークにより商標権の存在をアピールするためです。

法律に決められたものではないので、(R)マークそのものに、法的効果があるわけではありません。しかしながら、表示の努力は求められており、権利侵害を防止する観点からも、Rマークが一般的に使われている。こう理解して下さい。

ケース別の表示例。

1.登録済の商標を、カタログ・パンフレットに表示する場合

登録商標の表示例を紹介します。

カタログやパンフレットの記載スペースが十分ある場合には、推奨されているように、次の1文を記載します。

「○○○○」は、XXX社の登録商標です(登録番号第・・・・・号)。

2.登録済の商標を、ラベル等に表示する場合。

Rマークといっても日本に法律上の直接の決まりが存在しないことから、このようにしなければならない、ということではありません。

もし使うならRマークの付け方についてはこのように通常使う人が多い、と理解ください。

記載スペースが十分にない時は、(R)マークを登録商標の後ろの位置に付記します。

この場合(R)マークの大きさは、小さいフォントで上寄せにつける場合もあれば、下寄せにつける場合もあります。また小さくせずに、同じ大きさで最後に表示する場合もあります。Rマークの位置いずれの方法でも、問題ありません。

単なる文字列でなく、デザインが登録商標になっている時は、デザイン性を損ねないように、小さな文字で(R)マークを表示します。

3.他社の登録商標を使用する場合。

パソコンのカタログで、windows(マイクロソフトの登録商標)を記載するように、他社の登録商標を使用する場合は、必ず他社の登録商標であることを、下記のように明記します。

「○○○○」は、XXX社の登録商標です(登録番号第・・・・・号)。

4.登録申請中の商標にマークを表示したい場合

出願手続を完了したものの未だ商標権は発生していないが、出願申請中なので何らかの表示をしたい。こういう場合があります。このような場合に、アールマークを付けるのは勝手には出来ません。

基本的には、何も記載しないことを奨めますが、記載を希望するときは、TMマークをつける方法もあります。TMマークについては、この後で説明します。

5.表示していはいけないこと

たとえ申請中であっても、登録されていない商標に(R)マークを記載することは出来ません。こういった行為は登録商標であると誤認を生むため、勝手に「Ⓡ」を付ければ虚偽表示を理由として刑事罰の適用もあり得ます。

Rマークについての知識

1.Rマーク(Ⓡ)の変換の仕方

Windowsのケース
マイクロソフト社のOFFICEの場合では、”CONTROL”+”ALT”+”R”のキーを同時に押すと「Ⓡ」を入力できます。

Macのケース
カタカナで「アール」と入力し、変換すると、「Ⓡ」を表示させることができます。

ただし、”Ⓡ”の文字は環境依存文字ですので、違うアプリケーション等で使用すると文字化けすることがあります。

2.(R)マークを使う意味

Rマークそのものを規制する法律が存在しないため、Rマークを使ったからといって何か特別な利益があるわけではありません。

ただしRマークを付けると、商標に商標権があると分かるので、侵害の発生を防止できる予防効果とブランドの保護効果が期待できます。

3.Rマークが使えない商標もある

登録済みの商標と思っていても、(R)マークを使えないケースも存在します。

例えば、英語で商標「tered」に商標権があったとしましょう。ここでは半角英文字の”tered”が登録商標です。

ここで質問者が「商標の”テアード”にアールマークを付けてもよいでしょうか。」、と口頭で発音したとします。

仮に弁理士が付けてもよい、と口頭で発音したとしても、カタカナの商標「テアード」に付けてよいとの意味ではないです。

商標「tered」が登録商標です。商標「テアード」は読み方は同じですが登録商標とは違います。

半角英文字バージョンの商標が登録されているのであって、カタカナバージョンの商標が登録されてるのではないです。こういった理由から登録された「tered」へアールマークを付けることも可能ですが、商標「テアード」にはアールマークを付けることができません。

仮に付けたとしたら、やはり虚偽表示となり、法律違反になります。登録商標でないものを登録商標であるかのような表示をしてはいけないとの法律に違反するからです。

商標権の範囲は類た商標を含みます。商標権の範囲内でも、アールマークを付けてはいけない商標も存在します。

特にロゴ商標の場合にはデザインの関係によりマークと文字との配置の様々な組み合わせが多くあるため、どのロゴが登録商標であったかを勘違いすると、Rマークの虚偽表示につながるのです。

自分の商標権の範囲内だからアールマークを使うことができる、と誤解しがちなので注意してください。アールマークの使い方については弁理士の表示位置の指定を受けておく方が無難です。

4.外国登録商標に注意

米国特許商標庁で登録され、米国で商標権が発生済みのトレードマークでも、日本で商標登録をしていないなら、やはり日本でアールマークを付けることはできません。

商標権の範囲は、登録が認められたその国限りだからです。米国で有効な権利が、日本で有効であるとは限りません。

5.特許には使えない

特許についても設定登録により特許権が発生するので(R)マークを使ってもよいように感じるでしょうか。

実務上、特許関係の発明品に(R)マークは使用しません。
仮に使うとすれば、発明品の商標に対してだけです。

その他のマーク

1.TMマーク

TMマークは、Trade Mark(トレードマーク)のそれぞれの英語の頭文字の略であり、単なる商標を意味します。登録されたことを示すものではありませんから、出願申請中でも出願申請前でも表示できます。もちろん法的効力はありません。

Rマークと同様、日本ではTMマークに対する法律条項が存在しないのです。

TMマークは米国における制度のため、商品に使うのがTMマーク、サービスに使うのがSMマークです。

2.SMマーク

SMマークは、Service Mark(サービスマーク)のそれぞれの英語の頭文字の略であり、商標の中でも、特に役務(Service)に使う商標を意味します。

Rマークと同様、日本にはSMマークについても、やはり法律の決まりがありません。

通常商標は商品のパッケージに表示するのですが、教育のサービス、医療のサービス等、役務に関する業務は形のあるものではありません。そこでサービスの提供に使う物にSMマークを表示します。

日本では商標の定義にサービスマーク(役務商標)が規定されています。役務商標だからといって、商品商標と何か違った特別の扱いを受けるわけではないです。

3.Cマーク

Cマーク(©の記号)は、Copyright (コピーライト)の英語の頭文字の略であり、著作権の表示になります。自分が創造した著作物(言語、図画、音楽等)であることを、示すマークですから、商標権と違うのです。

商標権があれば商標権者は登録商標を指定商品等への使用を独占できますが、著作権の場合は著作権者以外は、著作物の複製ができない形で権利が働きます。

Rマークと同様、日本にはCマークに関する条項規定がないのです。

著作権と商標権は似通った点もあり、誤解される方が多いので、ここで違いを明確にしておきます。

著作権と商標権で一番大きな違いは、次の2点です。

  1. 著作権は、創作物の完成と同時に、自然に生じる権利になります。商標権は特許庁で登録してはじめて発じる権利です
  2. 著作権は仮に侵害しても、知らなかったと主張できる可能性があります。商標権は、知らなかったという主張はできません

著作権と商標権では、保護の対象と効力の強さが、全く異なります。ですので大事な言葉やデザインであれば、著作権でなく商標権で守ることを、考えて下さい。

著作権の条約との関係

日本では著作権については、権利が生じる条件に申請や登録等の手続を請求しない無方式主義が採用されています。

世界的には著作権を主張するために登録申請等の手続を必要とする方式主義と、登録申請等の手続を必要としない無方式主義とが対立していました。

方式主義の代表は米国や南アメリカ諸国などです。

国際的なベルヌ条約や万国著作権条約などで各国間の著作権について調整が図られてきました。これらの条約により米国や旧ソ連連邦等との著作権の調整が進みました。

現在ではほぼ全ての国がWTOに加盟していて、WTOのTRIPs協定により無方式主義を基調とするベルヌ条約を守る線で合意がなされています。

ファーイースト国際特許事務所

平野泰弘所長弁理士