国外からの商標権侵害物品を水際で止められますか?

商標権を侵害する商品は、外国から国内に持ち込まれることがあります。税関で差し止めることができれば、市場に流通することを阻止できるため、有効な対応策となります。輸入差止めに関する手続の概要を解説します。

国外からの商標権侵害物品を水際で止められますか?

ファーイースト国際特許事務所の弁理士・弁護士

1.税関における輸入差止め

商標権侵害物品は、国内で製造されたものもあれば、国外で製造されたものもあります。

国外で製造されたものは輸入の上、国内で譲渡されるところ、貨物を輸入しようとする者は税関に対し必要事項を申告し貨物の検査等を受ける必要があります。

かかる税関の通関手続において、商標権侵害物品を発見・排除することができれば、商標権侵害物品の国内における譲渡を水際で防止することができ、商標権の保護に役立ちます。

関税法は、「輸入してはならない貨物」として、特許権や商標権など知的財産権を侵害する物品を挙げており、知的財産権を侵害する物品は没収・廃棄などの措置の対象となります。

知的財産権侵害物品の輸入差止状況は、2018年(平成30年)、26,005件であるところ、そのうち、商標権侵害物品の件数が96パーセント以上を占めます。

商標権侵害は、特許権侵害などと比較して、見た目で判断しやすいため、税関における輸入差止めが活用されているといえます。

2.手続のおおまかな流れ

(1)輸入差止申立て~受理

輸入を差し止めるには、前提として、税関に輸入差止めを申し立て、申立てが受理される必要があります。輸入差止手続において輸入差止申立てが受理されるか否かがとても重要です。

輸入差止申立てに際しては、申立書を初めとした必要書面を提出します。

税関は極めて多数の物品を取り扱っているところ、税関が真正品と侵害疑義物品を識別するポイントを記載した書面には特に留意が必要となります。

権利者が輸入申立ての手続を的確に行えるように、税関は事前相談に応じているところ、税関の窓口と調整を適宜行った上で、輸入差止を申し立てることになります。

税関が申立書を受け付けると、輸入者等の利害関係人に連絡が行き、利害関係人に意見提出の機会が与えられます。

必要に応じ、専門委員の意見照会が行われ、当事者の意見聴取の場を経た上で、専門委員の意見書を踏まえ輸入差止申立ての受理・不受理等が決定されます。

輸入差止申立てが受理されると、輸入差止申立ての有効期間中、税関が対象となる侵害疑義物品を発見した場合、税関手続が中止されることになります。

(2)認定手続

税関は、輸入差止申立ての有効期間中、侵害疑義物品を発見した場合、認定手続を開始します。

権利者と輸入者に認定手続開始の通知が行き、権利者と輸入者は意見書や証拠を提出することになります。

意見書や証拠は原則10執務日以内に提出する必要があり、その間に必要に応じて侵害疑義物品の点検等を行わなければならず、迅速に対応する必要があります。

税関は、必要に応じて、専門委員等の意見照会を行い、侵害に当たるか否か認定します。

なお、商標権侵害を理由に輸入差止めを申し立てている場合には、簡素化手続の下、認定手続が進むことが多いといえます。

すなわち、商標権侵害の場合、税関はまず輸入者に争う意思があるか確認します。

輸入者が争う意思を示さなければ、権利者は意見書や証拠を提出する必要はありません。

権利者の負担軽減が図られており、税関は、輸入差止申立て時の資料に基づき、侵害に当たるか否か認定します。

(3)税関の処分

税関の認定結果は権利者と輸入者に通知されます。

税関が侵害に当たらないと認定すれば、輸入が許可されます。

他方、税関が侵害に当たると認定すれば、輸入者は自ら廃棄するなど自発的処理を迫られることになり、不服申立期間を経過すれば税関が没収の上、廃棄します。

3.費用

輸入差止手続につき弊所にご依頼いただく場合、申立手続と認定手続のそれぞれの手続の費用をご負担いただくことになります。

上述のとおり、輸入差止手続は申立てが受理されるか否かが重要なポイントとなるところ、法律相談において、依頼者から侵害疑義物品に関する事情をお伺いした上、受理の可能性がありそうな場合、個別にお見積書を提示させていただくことになります。

また、輸入差止手続そのものについては、国に納める手数料は生じないものの、手続の経過によっては、輸入者に生じる損害を賠償するため、担保の供託が必要となる場合があります。

担保の供託が必要となる場合、弊所は供託の手続を代理することができないため、手続は依頼者に行っていただくことになります。

ファーイースト国際特許事務所
弁護士・弁理士 都築 健太郎
03-6667-0247

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