特許庁の判断を裁判所で争うことはできますか?

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1.特許庁の判断に不服がある場合

特許庁は産業財産に関する事務を取り扱い、特許庁の業務には産業財産権に関する審査や審判が含まれます。

商標権は産業財産権の1つであるところ、商標権を取得するため特許庁に商標登録出願を行い、商標登録の有効性を争うため特許庁に審判請求等を行います。

商標登録に関する判断は一次的には特許庁が担っているといえます。

ただ、特許庁の判断は最終的なものではありません。

商標登録に関する特許庁の判断は、国民の商標権の取得に関する事項であり、国民の権利の具体的な形成に関するものです。

こうした重要な判断が行政機関の内部で処理され、中立的な機関の判断を受ける機会が国民に保障されない場合、国民の権利の保護を図ることは困難となります。

そこで、行政機関の判断に不服がある場合、行政機関から独立した司法機関の判断を仰ぐため、裁判所に出訴することが認められています。

特許庁が商標登録を抹消した場合でも、商標権者は審決等の取消訴訟を提起することが可能です。

取消訴訟の対象となる特許庁の判断には審決の他決定も含まれますが、以下、単に「審決取消訴訟」といいます。

2.手続のおおまかな流れ

(1)訴え提起

審決取消訴訟を起こす場合、審決の謄本の送達を受けた日から原則30日以内に訴えを提起する必要があります。

審決取消訴訟は東京裁判所の専属管轄に属するところ、東京地方裁判所の特別の支部である知的財産高等裁判所に訴状を提出します。

一般的な行政事件訴訟では、取消訴訟の出訴期間は処分があったことを知った日から6ヶ月とされているものの、審決取消訴訟の出訴期間は、上述のとおり、原則30日とされているため、準備期間は限られたものにならざるを得ません。

訴状には定型的な内容のみ記載し、後日提出する準備書面に具体的な取消事由等を記載するのが一般的ですが、かかる準備書面の提出期限も訴状提出後1ヶ月程度を目安に設定されます。

審決取消訴訟において新たな証拠を提出し主張を補充する場合、依頼者は専門家と相談の上、早期に証拠収集に着手する必要があります。

(2)第1回口頭弁論期日

訴状提出後、第1回口頭弁論期日が指定されます。

被告は答弁書を提出した後、具体的な取消事由等が記載された原告の準備書面を待つことになりますが、第1回口頭弁論期日までに時間的な余裕があれば、被告は原告の準備書面を踏まえた反論の準備書面を第1回口頭弁論期日までに提出することになります。

第1回口頭弁論期日において、主張と証拠の整理が行われるところ、第1回口頭弁論期日までに原告・被告双方の主張が出そろっている場合、第1回口頭弁論期日において、弁論を終結し、判決言渡日が指定されます。

商標に関する審決取消訴訟は、特許に関する審決取消訴訟と異なり、弁論準備期日も設けられず、1~2回の口頭弁論期日のみで手続を行った上で審理を終える運用が行われています。

(3)判決

判決が原告の請求を認容するものであれば、審決は取り消されます。判決が確定すると、特許庁は判決に拘束され、後日、判決の内容を踏まえ、改めて審決がなされます。

他方、判決が原告の請求を棄却するものであれば、判決の確定を待って、審決に違法がないことが確定します。

(4)上訴

知的財産高等裁判所の判決に不服がある場合、最高裁判所に上告提起・上告受理申立てを行うことができます。

上告提起・上告受理申立ては、判決書の謄本送達日から2週間以内に行わなければならず、上告提起・上告受理申立ての要否につき、早急に検討しなければなりません。

3.費用

審決取消訴訟の費用に要する費用は概ね以下のとおりです。また、コピー代など実費のご負担も生じます。

  • 審決取消訴訟提起費用:580,000~円
  • 収入印紙代     :13,000円
  • 予納郵便切手代   :6,000円
  • (準備書面作成手数料:300,000~円)
  • 成功報酬      :100,000~円

上述のとおり、審決取消訴訟は1~2回の口頭弁論期日のみを経て、判決の言渡しに至るため、準備書面を複数回作成することはあまりありません。

ただ、事件の難易度により、費用は変化しますので、審決取消訴訟のご依頼を頂く場合には、個別にお問い合わせいただければ幸いです。

ファーイースト国際特許事務所
弁護士・弁理士 都築 健太郎
03-6667-0247

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