先生、マンションは商品で合ってますよね?

商標権は、商品またはサービスに使用される名称やロゴマーク等の目印を特許庁に出願・登録して法律によって保護するための権利です。また、指定する商品またはサービスは商標権の権利範囲を判断する際の重要な判断材料になります。今回は「マンション」が商品になるのかサービスになるのかが争われた事件「ヴィラージュ事件」を題材に取り上げてみたいと思います。

先生、マンションは商品で合ってますよね?

ファーイースト国際特許事務所の弁理士・弁護士

1.はじめに

商標権の効力は、商標と指定する商品またはサービスによって決まるため、指定商品またはサービスは出願時に願書に記載することが求められます。それと同時に、指定商品またはサービスは特許庁の定める区分に従い、明確に記載することが求められます。

また、世の中にあるすべての商品、サービスは1から45のクラスに分けられており、第1類から第34類が商品に関するクラス、第35類から第45類がサービスに関するクラスになります。

ここで、「マンション」や「分譲住宅」といった、いわゆる不動産の販売については第1類から第34類を探しても見当たりません。商標法上、不動産は商品ではなく、他人に不動産を紹介、販売するサービスとして第36類に分類されています。

2.ヴィラージュ事件

 右によれば、被告が販売した建物(本件各住居)は商標法上の「商品」ということができ、被告が本件マンションないし本件各住居及びその広告に被告標章を付した行為は、「商品又は商品の包装に標章を付する行為」、「商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、又は輸入する行為」及び「商品又は役務に関する広告、定価表又は取引書類に標章を付して展示し、又は頒布する行為」(商標法二条三項一号、二号及び七号)に該当するものと認められる。
 したがって、被告は、被告標章を建物という「商品」に使用したということができる。
知財高裁平11.10.21(一部抜粋)

裁判所は「建物」を商品として判断しています。

 3 本件商標権は、「建物の売買、土地の売買」という役務について登録されたものであるが、商標法上、「役務」と「商品」とは、互いに類似することがあるものとされている(商標法二条五項)。そこで、本件商標権の指定役務である「建物の売買」という役務と、被告が被告標章を使用した「建物」という商品とが類似するものであるかどうかにつき検討する。
 役務と商品とが類似するかどうかに関しては、前述の商標法の目的や商標の定義に照らし、役務又は商品についての出所の混同を招くおそれがあるかどうかを基準にして判断すべきであり、商品の製造・販売と役務の提供が同一事業者によって行われているのが一般的であるかどうか、商品と役務の用途が一致するかどうか、商品の販売場所と役務の提供場所が一致するかどうか、需要者の範囲が一致するかどうかなどの事情を総合的に考慮した上で、個別具体的に判断するのが相当である。そして、商品の販売という役務に用いられるべき標章と同一又はこれに類似する標章を、当該商品の名称として使用した場合には、当該役務の提供者と当該商品の出所とが同一であるとの印象を需要者・取引者に与えると解される。
 これを本件についてみるに、「建物の売買」という役務と「建物」という商品との間では、一般的に右役務提供の主体たる事業者は「建物」という商品の販売主体となるものであり、需要者も一致するから、役務と商品との間において出所の混同を招くおそれがあるものと認められる。したがって、「建物」という商品は、「建物の売買」という役務に類似するというべきである。
知財高裁平11.10.21(一部抜粋)

「建物の売買」という役務と「建物」という商品が類似すると判断しています。ここがポイントです。

 4 以上によれば、被告の前記行為は、指定役務に類似する商品について登録商標に類似する商標を使用する行為(商標法三七条一号)に該当するものであって、本件商標権を侵害するとみなされるから、原告は被告に対し、被告標章の使用の差止め及び後記の損害賠償を求めることができる。
 また、被告は、「ヴィラージュ」又は「VILLAGE」の文字と地域的名称とを組み合わせた標章を、被告が将来販売するマンションに使用する意図を表明しているところ、これらの標章もまた本件登録商標と類似するものと認められるから、これらを建物に付して販売した場合には、登録商標の指定役務に類似する商品について登録商標に類似する商標を使用する行為として、本件商標権を侵害することとなるので、原告は、その予防としてこれらの標章の使用の差止めを求めることができる。
知財高裁平11.10.21(一部抜粋)

3.まとめ

被告は、自らが商標を使用している対象が建物という「商品」であるに対して、原告の商標権は「建物の売買」というサービスを指定して登録されているのだから、被告の使用は商標権を侵害するものではないと主張しました。

これに対して裁判所は、被告が商標を使用した対象が「商品」であることを認めつつも「商品」と「サービス」とが類似することもある、という商標法2条5項(現6項)を根拠に被告の主張を退けました。

商標法では不動産は商品ではなくサービスに分類されています。しかし、商品とサービスは類似しますので、サービスを指定して登録を受けておくことで適切な保護を受けられます。

ファーイースト国際特許事務所
弁理士 秋和 勝志
03-6667-0247

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