クロコダイルとラコステの違いとは?ロゴを巡る商標裁判の行方

互いにワニを特徴的なマークとして備えるクロコダイルとラコステのロゴマーク。両関係者は日本のみならず世界各国で訴訟合戦を繰り返しています。その争いは世界各国で数十年に及びます。そもそもそれぞれのワニは右向きか左向きかの違いがあるだけで、一見ただでは済まなさそう。今回はそんなロゴを巡る商標裁判の行方を解説します。

(1)クロコダイルのとラコステの違いとは?

ラコステ

特徴

ラコステの特徴は、右を向いたワニのロゴです。ラコステの右を向いたワニのロゴマークが付いたポロシャツは有名です。一度はワニのロゴマークが付いたポロシャツをあなたも見たことがあるのではないでしょうか。

ラコステとクロコダイルの登録商標例
特許庁公開の商標公報より引用

歴史

ラコステは、フランスのアパレルブランドです。それまで服の内側に隠されていたブランドの商標ロゴをラコステが初めて服の表に出したと言われています。

このラコステは1933年に元テニス選手のルネ・ラコステ氏によって創業されました。ラコステの商標ロゴマークにワニの図柄が採用されているのは、ラコステ氏のニックネーム「ワニ」が由来であるとのことです。

このワニのマークが有名になり、ラコステの右を向いたワニのロゴマークが付いたポロシャツ等は世界中でライセンス生産がされるようになりました。

クロコダイル

特徴

クロコダイルの特徴は、左を向いたワニのロゴです。クロコダイルのロゴマークはラコステのロゴマークのワニのとはその向きが反対になっています。

特にワニの部分に注目するとクロコダイルとラコステとのロゴが一見類似していることからことある毎に問題が生じます。

ただ、クロコダイルのロゴはラコステとは異なるブランドとして一定の認知度・人気がありました。野球選手やプロゴルファーのキャラクターとして起用され、TVによるプロモーション活動も実施されました。

歴史

クロコダイルのロゴは日本のアパレルメーカー・ヤマトインターナショナル株式会社の主力ブランドです。
1980年に香港のクロコダイルガーメンツ社から商標を取得しました。なお、クロコダイルガーメンツ社はその後、シンガポールの企業となっています。

元々はクロコダイルのロゴはクロコダイルガーメンツ社のブランドであり、ブランド自体は1952年に立ち上げられています。

日本での販売状況

ラコステ

ラコステは1971年に日本上陸、販売されました。

クロコダイル

1963年に国内での販売が開始されました。

(2)裁判のきっかけとは?

(2-1)侵害に至った経緯

日本の場合は、クロコダイル側がラコステ側を大阪地裁に商標権侵害を理由として訴訟に踏み切りました(大阪地方裁判所昭和44(ワ)2333 商標権民事訴訟 昭和46年2月24日)。


1969年、クロコダイル・インターナショナル社は、日本の大阪地方裁判所において、「鰐図形」の商標権を侵害してい るとしてラコステ社を訴え、その後、両者は日本の高等裁判所において和解に達し、1983年に和解 契約を締結した。該和解契約は両者の関連する標示は関連する国家及び地区において共存しており混同を起こさないことを確認した。
日本弁理士会 国際活動センターアジア情報より引用

このように日本では和解が成立していますが、世界各国の法廷で両社は衝突する結果になります。

中国における裁判では双方のロゴが並列して存在することを認めています『中華人民共和国最高人民法院民事判決:(2009)民三終字第3号「ラコステ商標訴訟」』。

また2015年の2月にはニュージーランドでラコステとクロコダイルの商標を巡る控訴裁判所ではラコステ側に軍配が上がる判決がでています。

(2-2)現在のクロコダイルのロゴは?

数十年に渡って仁義なき戦いを地で行くような戦いを繰り広げてきた両者でしたが、クロコダイルのロゴは2012年秋から、ワニのロゴをなくす方向になりました。

クロコダイルの文字のみ残し書体も発売50周年を迎えてデザイン一新するとのことです(2012/05/29 日本経済新聞『クロコダイル、ワニいない新デザイン』 )。

(3)クロコダイル・ラコステのケースから分かること

(3-1)ロゴの類似から考えられるリスク

ブランドロゴの使用を開始し、一定の期間を経てブランドが定着した後だと、ブランドロゴの変更が簡単ではなくなります。ブランドロゴを変更すると、ブランドロゴを手がかりにこちらを頼ってくる顧客や、これまで積み上げてきた知名度を失うことになるからです。

また他人のデザインを一切参照することなく仕上げたロゴデザインであっても、そのロゴデザインが他人の商標権を侵害する結果になる場合があります。

商標権の場合は他人の登録商標を知っていたかどうかは商標権の侵害を認定する要素としては、全く考慮されないからです。

ロゴ・デザイン作成の注意点

事前の商標調査により、類似したものがないかを見直すことが重要です。

さらに商標の調査を行って、似たものが存在しないことを確認するだけでは十分ではありません。商標登録は先に商標を使った者が商標権者になる制度ではなく、先に特許庁に商標登録出願を済ませた者が商標権者になる制度だからです。

このため商標の調査だけを行い、商標登録をしていない場合には、後から他人にこちらの商標を登録されてしまう事態が発生する可能性があります。

他人にこちらの権利を取られる前に、先に商標権を確保する。攻撃が最大の防御であることを覚えていてください。

(4)登録商標の注意点

商標登録した商標と、使っている商標とが違うと商標登録が取り消されることも

商標権を取得してそれで安心、というわけではありません。

登録商標には使用しなければならない義務が課せられていて、日本国内で三年間、登録した商標と全く同じ商標を使用していないと、不使用を理由とする取消審判を第三者から請求される可能性があります。

この不使用取消審判を請求された場合には、登録商標そのものを使っている事実を証明できないと、商標権が消滅してしまう結論になる場合があります。

商標権を取得した後は、そのメンテナンスも大切だ、ということです。
油断は禁物です。

ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘

03-6667-0247

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