中国の商標を検索し、出願・登録する方法とは?

商標は各々の国で出願・登録する必要があるため、日本で手続きが完了していても、ほかの国では通用しません。もし、あなたが中国国内で自身の商標を守りたい場合は、中国の法律に従って商標登録をしなければなりません。では、実際に登録をする際にはどのような点に注意し、手続きを進めていけばよいのでしょうか?中国での商標登録の現状を含めてご紹介していきます。

*2017.7.28 改訂

索引

(1)なぜ商標は中国で注目され、数多く検索されるのでしょうか?

(1−1)中国の商標登録の現状を知りましょう

近年、中国では商標登録に関心をもつ人が増大しています。
登録の窓口となっているのは、中国商標局(CTMO)です。正式名称は国家工商行政管理総局。
この機関が中国での申請と登録を一手に取り仕切っています。

年間の出願数は大幅に増加

中国での商標の出願件数は、過去と比較すると大幅な増加がみられます。
これは年を追うごとに増え続けており、2000年から5年ごとの推移は以下のようになります。

《中国における商標出願件数の推移》

西暦 出願件数
2000年 223,177件
2005年 664,017件
2010年 1,072,187件
2015年 2,876,048件


「Annual Development Report on China’s Trademark Strategy 2015」より抜粋して引用

この数字はマーケットの巨大さを示すとともに、中国ならではの理由も含まれています。
中国では自身の商標を守るためだけでなく、事業を営んでいない人が売買のために商標を登録をしている、という特徴がみられます。

商標が株の取引のように取り扱われている面があるため、関心を寄せる人も多く、その数は膨大なものになります。

商標法の改正による変化

中国の商標法は過去に1993年と2001年に改正され、現在の改正商標法は2014年5月1日に施行されました。
ここには商標登録の際、出願する人の便宜を図るものも含まれています。
改正された規定の一例は、以下の通りです。

  • 音声商標が登録可能に
  • 電子出願を導入
  • 「一出願多区分」の出願方式に
  • 審査期限の設定   など

これらによって、手続きの負担の一部が軽減されています。

(1−2)商標権をめぐる中国と海外との関係

中国の商標法の対象範囲はどこまでですか?

冒頭に記したとおり、商標は国ごとに登録する必要があるため、その権利は海外にはおよびません。

また、中国で登録した商標は、広大な国内に効力を発揮しますが、個別の法律をもつ香港やマカオ、台湾については適用されません。
もしも、これらの土地でも商標を活用していきたい場合には、それぞれ出願する必要があります。

日本との問題 〜商標権の侵害〜

近年、中国で日本のブランドや社名がいつの間にか商標登録されている問題が多発しました。
このように権利者となるはずの個人や法人以外が出願することを「冒認出願」といいます。

その被害は無印良品や髙島屋、ヤマハなどの企業だけでなく、クレヨンしんちゃんなどのキャラクター、東京スカイツリーのような建物にまでおよびました。
さらに、JETRO(日本貿易振興機構)が2015年に行った調査によると、34の都道府県名と6の政令都市名が出願されていました。

それまで思いもよらなかった事態に衝撃を受け、当事者たちは権利を守るための奮闘を余儀なくされました。
しかし数年にわたる係争の結果、中国での権利が認められなかったケースも数多くあります。

(1−3)なぜ、中国で商標を出願したほうがいいのでしょうか?

企業・ブランドの海外進出

現在は、日本の企業やブランドが海外に進出する機会も増えています。
このときメインとなる業務だけではなく、商標の登録についても対処しておくことが大切です。

例えば、自身のブランドが海外で業績を上げたとしても、そのシンボルとなる商標を他者に登録されてしまうと、その後の事業の弊害となるだけでなく、権利を侵害したとして先方から訴えられることもあります。

必死に築き上げてきたものが、突然、何の関係もない他者に渡ってしまう事態は避けたいものですね。
そのためにも海外進出を視野に入れる際には、あらかじめ商標に関する知識や情報も蓄えておきましょう。

出願するタイミングはいつ?

では、いつ商標の出願をすれば安全なのでしょうか?
商標登録の世界は、基本的に先願主義を採用している国が多く、日本も中国も同様です。

これは文字通り先に出願した人が有利になるもので、もし第三者によって先に出願・登録されてしまった商標については、本来の権利者が後から出願しても、登録は難しくなります。

そのため自身の商標を守るためには、後手に回ることなく、できる限り早く手続きをすることが必要です。

[中小企業知的財産活動支援事業費補助金]

ただ、商標を早めに登録したほうがよいとわかってはいても、中小企業にとって外国への出願は金銭的にもハードルが高いものかもしれません。

それを解消するため、現在、出願費用の半額を助成する制度が設けられています。
選定の基準など詳細は、下記の特許庁のHPで確認できるので、ぜひ検討してみてください。

    平成29年度中小企業知的財産活動支援事業費補助金(中小企業等外国出願支援事業)
    https://www.jpo.go.jp/sesaku/shien_gaikokusyutugan.htm

もし、すでに商標が登録されていたら

ご自身の商標と同一か、よく似たものがすでに登録されていた場合は、出願をしても審査を通る可能性は低くなります。

しかし上記の「冒認出願」が大きな問題になったことで、特許庁やJETRO(日本貿易振興機構)がさまざまな対策を講じています。

     特許庁のHPでは、対応マニュアルや支援策が記載されています。
     https://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/torikumi/kokusai/kokusai2/shohyo_syutugantaisaku.htm

(2)中国で登録されている商標の検索方法とは?

その商標がすでに中国国内で登録されているかどうかを調べたいときには、「中国商標網」(中国商標局データベース)で検索できます。
     
   中国商標網:http://sbj.saic.gov.cn/

(2−1)実際に中国商標網を使ってみましょう

1)「商标查询」をクリック

まず、ページ上の「商标查询」をクリックすると、「使用説明」の画面に移ります。
ここでは情報が法的な効力をもたないことが説明されています。
了承の意思を示すため、「我接受」のボタンを押すと、2)の検索方法が選択できるページに移ります。

2)商標を検索

類似の商標を検索したい場合は、1番左上にあるオレンジ色のアイコン「商标近似查询」をクリックします。

もし、商標を総合的に検索したい場合には、1番左上にある緑色のアイコン「商标綜合查询」をクリックします。

3)検索フォームに入力

その後、検索フォームにデータを入力して調べることができます。
類似商標の検索と、総合的に商標を検索する手順を以下にまとめます。

類似商標を検索する場合

ご自身の商標や名字、または地名などがすでに登録されているかを調べたいときは、ここで調べることができます。

〈1〉国際分類・商品名を入力

1番上の「国际分类(国際分類)」欄に番号を入力します。
右側の虫眼鏡マークをクリックすると、分類表が出るので参考にしてください。

そして4行目の「商标名称(商標名称)」欄に情報を入力します。
ここでは仮に「北海道」と入れます。

〈2〉検索結果の表示

「查询(検索)」ボタンをクリックすると、以下のような検索結果の一覧が表示されます。

〈3〉詳細情報や履歴の表示

このとき、一覧の「申请/注册号(登録・出願番号)」をクリックすると、詳細の情報が表示されます。
タブによって「商标详情(商標詳細情報)」と「商标流程(ファイル履歴)」の切り替えができます。

「商标详情(商標詳細情報)」

「商标流程(ファイル履歴)」

総合的に商標を検索する場合

大まかな操作の流れは上記の「類似商標を検索」と同様になります。

〈1〉商品名を入力

総合商標の検索画面では、3行目にある「商标名称(商標名称)」欄に情報を入力します。

〈2〉検索結果の表示

「查询(検索)」ボタンをクリックすると、検索結果の一覧が表示されます。

〈3〉詳細情報や履歴の表示

「申请/注册号(登録・出願番号)」をクリックすると、詳細の情報が表示されます。
ここでもタブによって「商标详情(商標詳細情報)」と「商标流程(ファイル履歴)」の切り替えが可能です。

(3)中国で商標を登録するために

(3−1)出願前に十分な準備をしましょう

中国で商標登録できる商品や役務とは?

現在、中国で登録できる商標は、一般的な文字、図形、立体の商標だけでなく、色彩の組み合わせや音声にもおよびます。
また、団体商標やサービスマークの登録も可能です。

商標の区分の把握を

出願する際には、商品および役務分類表に基づいて、商品の区分と商品名を記入しなければなりません。
ただ、この分類は日本とは内容が異なるケースがあるので注意が必要です。

また、商標法の改正で「一出願多区分」制度が取り入れられたことで、複数の区分の出願や登録商標の変更、更新手続きなども容易になりました。

審査を通過するために知っておきましょう

1)出願前には必ず調査を

まず出願に先立ち、その商標がすでに中国国内で登録されているかどうかを調べる必要があります。これは上記「(2)中国で登録されている商標の検索方法とは?」で紹介した中国商標局のデータベース「中国商標網」で検索できます。 

2)類否について

出願した商標が審査を通るためには、すでに登録されている商標との類似がないかどうかが重要な要素になります。これは商標そのものを指すだけではなく、使用する商品や役務が似ているかどうかも判断されます。

3)類似群コードとは

商品や役務には、その類似性を識別するために付けられたコードがあり、これを類似群コードと呼んでいます。
日本ではアルファベットと数字の5桁(2桁の数字+1文字のアルファベット+2桁の数字)で示され、中国では4桁の数字となります。

[類似群コードの表示]

「中国商標網」では、「商标近似查询」の検索画面の2行目に「类似群」欄があります。

最初に1行目の「国际分类(国際分類)」欄に番号を入力した後、「类似群」欄の右側にある虫眼鏡マークをクリックすると、4桁の数字と品目を記した候補が出ます。
ここでチェックを入れて選択してください。

また、「商标详情(商標詳細情報)」ページの「类似群」の欄には、区分表にそった類似群コードが表示されます。

(4)商標登録に必要な手続きとは? 〜出願から登録まで

(4−1)出願から登録までの道のり

商標を登録するまでの行程は、大まかにいうと出願から審査、公告(異議申立て)を経て、登録となります。
それぞれの段階でやるべきことについて、順番にみていきましょう。

出願時

出願するときは、中国語で願書をつくらなければいけません。
また出願日は、日本では書類を発送した日になりますが、中国では商標局が受け取った日となります。
出願に当たり、事前に決めておいたほうがいいものや必要なものは以下の通りです。

  • 出願する人や会社の名前・住所の中国語表記
  • 商品や役務の区分
  • 指定商品・指定役務の詳細
  • 代理人への委任状、会社の登記簿謄本の写し
  • 出願する商標の見本

審査

審査の内容
《方式審査》

最初に行われる方式審査は、何か不備を指摘されても説明や補正を適切に行うことでクリアできます。けれど補正を行わなかったり、内容が不足していた場合には出願が却下されます。

《実体審査》

その後、実体審査が行われます。

このとき登録の条件を満たしていない場合には、拒絶査定となってしまいます。
ここでは新たに説明を加えたり、意見を言うことは認められておらず、納得できないときは不服審判を請求しなければなりません。

また拒絶される理由のある指定商品・指定役務が「一部拒絶査定」となった場合、日本では出願人が対応しないと出願自体が拒絶されます。

けれど中国では、出願した人が何もしなくても、問題のないものにかぎり次のステップである公告へと進むことができます。

中国での早期審査制度の適用は?

商標登録の出願をする際に、審査に要する期間を1〜2カ月程度まで短縮できる「早期審査制度」は、残念ながら中国では行われていません。
基本的に出願された商標のすべてが中国商標局で審査されます。

審査期間

近年、中国では出願件数が爆発的に増加したことに加え、審査完了までの期限が設けられていなかったことから、結果が知らされるまでに2〜3年もかかるというケースが頻発していました。

しかし商標法が改正された現在は、出願から審査終了までにかけられる月日は9カ月以内という規定の元で運用されています。
そのため、問題がなければ約1年で審査を終え、登録に至ることが可能です。

公告(異議申立て)

これまでの過程を経て認められたとき、その商標は「初歩登録査定公告」とされます。
その後、3カ月ほどの異議申立期間に入ります。このとき、第三者から何も申し立てがなければ登録へと移ります。

登録

定められた期間に申し立てがなかった場合は、「設定登録公告」となり、「商標登録証」が発行されます。
これで中国での商標登録の手続きが、無事、完了となります。

(4−2)中国での出願にかかる費用とは?

中国で商標を登録するときには、出願や審判請求などの手続きの際に官庁に手数料を納めなければなりません。
出願するときの官庁費は、以下のようになります。

《出願時の官庁費》

  1商標1区分で、指定商品・役務が10以下の場合  300元
  *指定商品・役務が10を超えた場合は、1つ増えるごとに30元追加

この官庁費のほかに、手続きを代理人に依頼したときにかかる費用があります。
つまり、登録出願の際にかかる金額は、以下の合計となります。

《出願時にかかる費用》

  官庁費+代理人費用(現地)+特許事務所手数料(日本)

このとき現地の代理人と日本の特許事務所に支払う手数料は、それぞれの設定料金があるため、いくつか比較してみるとよいと思います。

(5)登録商標を適切に管理していきましょう

商標は1度登録すれば、それですべてが終了するわけではなく、その後も使用し、管理していくことが大切です。

(5−1)商標の更新と更新期間

登録した商標は更新によって権利をもち続けることができます。
商標の権利が続くのは、日本と同じように登録してから10年間です。
これは手続きによって、その先の10年間も継続することが可能です。

商標法の改正により、更新手続ができるのは期間満了日の6カ月前から12カ月前に変更されました。

もしも満了日までに完了できなかった場合でも、6カ月以内に追加料金を納付すれば更新できます。しかし、期間内に手続きをしなかった場合は、その登録商標は取り消されます。

(5−2)登録情報の変更について

登録情報を変更したい場合は、変更申請書を商標局に提出する必要があります。
名義や住所を変更する際は、登録商標のすべてを一括して変更しなければなりません。

また、名義変更の際は、変更証明書類(関係登録機関発行)も必要となります。

(5−3)商標を譲渡するときには

登録商標を譲渡する際は、譲り渡す側と受け取る側が共同で一連の手続きを行います。
商標局に提出する登録商標譲渡申請書には、双方の捺印か署名が必要です。さらに、商標譲渡の委任状と主体資格証明書類も提出しなければなりません。

(5−4)商標の取り消しと無効宣告について

商標は取り消しや無効宣告を受けることがあります。
それぞれのケースについて、順に説明していきます。

商標の取り消しについて

1)不使用取消制度

その商標が3年間使用されていないときは、商標局への請求によって取り消されることがあります。これは不使用取消制度と呼ばれています。

この請求があった場合には、商標の権利者は証拠を提出し、使用したことを証明しなければなりません(通知から2カ月以内)。もしこれを怠ってしまうと、その商標の登録は取り消されます。

ただし、商標を使用していないことに理由があり、それが正当なものだと認められた場合は取り消しはされません。
審理の期間は最大で9カ月です。

2)そのほかのケース

商標が取り消しされるケースとしては、以下のようなものもあります。

〈1〉いずれも手続きをして許可を得なかった場合
  • 商標の変更(図形の変更、簡体字から繁体字への変更など)
  • 登録情報の変更(名義人の名前や住所など)
  • 商標の譲渡
〈2〉著しく品質が劣化した場合

改善命令後に罰金が命じられるか、登録が取り消されることがあります。

〈3〉識別性がなくなった場合

その名称が一般的に使われるようになり、 ほかとの識別が難しくなった場合、登録が取り消されることがあります。

*取り消しの場合は、登録商標専用権が取り消された公告日に終止します。

商標の無効宣告について

もしも登録商標に問題があった場合は、商標局は無効を宣告します。
この宣告に不服のある権利者は、商標評審委員会(TRAB)に再審の請求ができます(通知から15日以内)。
審理の期間は9カ月です。

また無効宣告の請求がされた場合、TRABはその商標を維持するのか、無効とするのかという裁定を9カ月以内に提出します。

*元々、登録条件を満たしていない商標が無効宣告を受けたとき、はじめから登録商標専用権が存在しなかったとみなされます。

(6)まとめ

中国で商標登録を行う際は、日本とは勝手が異なり、戸惑うこともあるかもしれません。
けれど近年では、海外へ進出する場合はもちろん、ご自身の正当な権利を主張するためにも、中国での商標登録は必要不可欠なものになってきています。

この先もあなたの大切な商標を守り続けるために、ぜひ、この機会にチャレンジしてみてください。

ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
03-6667-0247

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