商標の検索方法
初心者向けに、商標の検索方法を説明します。
- 特許情報データベースの使い方
- 簡易検索の方法とは?
- 本格的な調べ方
- 登録できるか判断する方法
- 類似群コードとは?
- 初心者にお奨めの検索方法
特許情報プラットフォーム J-PlatPatとは?
日本の商標制度では、他人が既に登録していれば、同じ商標を登録することは出来ません。
特許庁は、登録済みの商標をデータベースとして公開し、誰でも出願前に検索できるようにしています。これが特許情報プラットフォーム J-PlatPatです。
J-PlatPatでは、特許・実用新案、意匠、商標と3つのデータベースがありますので、まずは商標の場所を知っておきましょう。
上図のように商標の場合、グローバルメニューと画面中央の2カ所があります。グローバルメニューを使うと、詳細で正確な検索が出来ます。ただこちらは使いこなすのに、商標登録の専門的な知識が必要です。
これに対し画面中央の簡易検索は、自分が検討している商標を打ち込むだけで、類似商標を表示させてくれるので、楽に検索することが出来ます。ですので、まずは簡易検索の仕方から説明します。
簡易検索の仕方
あなたが「ファーイースト」という商標を、登録しようとしているとします。まずは「ファーイースト」と打ち込んで、検索をクリックして下さい(下図参照)。
すると、次のような画面になります。検索結果として、32件あることが分かります。
横にある、一覧表示をクリックしてみましょう。そうすると、次のような画面になります。
ここにはファーイーストの類似商標が、一覧表示されています。
・ アルファベットのもの
・ 中丸で区切られたもの
・ 前後に文字が付加されたもの等
色々な商標が既に登録されていることが分かります。
簡易検索を利用するメリット
簡易検索は「類似商標がこれ位あるよ」と、大雑把に感触をつかむためのものです。必ずしも正確に表示するわけではありません。
試しに先ほどの手順で、「ファーイースト国際」と入力してみて下さい。検索結果はゼロになります。
ところが当社は「ファーイースト国際特許事務所」にて2件の商標を登録しています。本来であれば少なくとも、2件の類似商標があることを示さなければなりません。
このように簡易検索は、あくまで簡易であって正確ではありません。ただそれでも、簡易検索を使うメリットがあります。
1.類似商標が多いか少ないか、大雑把な目安が分かる。
類似商標の数がゼロに近ければ、100個表示される言葉より、商標として認められる可能性は高いです。色々な言葉を打ち込むことで、どんな言葉を商標にするか、瞬時に目安が得られます。
2.類似商標を知ることで、商標作成のヒントが得られる。
「ファーイースト」の例で言えば、アルファベットに変える、アルファベットも大文字と小文字がある、前後に違う言葉を組合せる。このように商標の作り方を学ぶことが出来ます。色々調べるなかで、頭が刺激され、閃くこともあります。
簡易検索は、操作が簡単なので、まずはここで調べてみて下さい。
本格的な調べ方
本格的に調べるには、商標出願・登録情報を使います。まずは下図の場所(グローバルナビ)をクリックして下さい。
クリックすると、次のような画面になります。
ここでは先と同じように「ファーイースト」という商標を考えているとします。
下図のように称呼のスペースに、前後に?をつけて、ファーイーストと入力します。
ここで3点、ポイントがあります。
1.まずは称呼を調べる。
商標そのものを調べるのでなく、まずは称呼を調べます。称呼というのは、商標の呼び方です。
称呼検索を最初にする理由は、称呼で問題になるケースが、とても多いからです。
2.前後に全角?をつけ加えます。
前後に?を加える理由は、前後に組み合わされた言葉を、全て表示させるためです。
3.入力は全角カタカナで行う。
称呼の検索においては、必ず全角カタカナで入力します。
検索ボタンをクリックすると、次のような画面になります。
これを見ると、ヒット件数が49件あります。
最初に行った簡易検索では32件でしたから、少し数が増えました。
どのような商標が登録されているのか、一覧表示をクリックしてみましょう。
商標登録できるかどうかの判断基準
ファーイーストが、商標登録できるかどうかは、次の3点から判断する必要があります。
1.称呼。 2.類似群コード。 3.区分。
仮に称呼が同じであっても、類似群コードや区分が異なれば、商標登録できる可能性があります。ですので、類似群コードと区分がどこに表示されるか、知っておきましょう。
一覧表示された画面には、左に登録番号があるので、クリックします。下図のように当社の登録番号である、5139650をクリックしてみましょう。
そうすると下図のような画面になります。これは表示画面の一番下です。丸印をつけた小さな数字が、2カ所あります。これが区分と類似群コードで、区分は45、類似群コードは43R01となります。
類似群コードとは何か?
類似群コードとは、特許庁が審査時に使う、商品・サービスを分類したコードです。大事なことは、商標とは類似群コードにおいて、効力が認められるということです。
なぜこうなるかと言えば、商標の保護対象が、業務の中で築き上げた信用だからです。類似の商標があれば誤解を生み、業務に支障が出る。だから保護の対象になります。
言い換えれば、業務の遂行に支障がなければ、保護する必要がないわけです。ですので特許庁は類似群コードを使って、ビジネスの種類を分け、効力の及ぶ範囲を定めています。
ですので、類似商標がある場合でも、自社の業務と異なる分野であれば、商標登録できることになります。
区分とは何か?
区分とは商品やサービスを、国際分類に従って区分けしたものです。区分は類似群コードの大区分に相当します。
区分が類似群コードの大区分ならば、類似群コードだけをチェックすれば済む話です。わざわざ区分まで見る必要はありません。
ところが日本では、これまでの商標法改正で、区分を国際基準の区分に合わせる作業が行われてきました。それにより一部の類似群コードは、本来あるべき区分と違う区分に移ってしまいました。簡単にいえば、区分と類似群コードが入り乱れているので、両者をチェックする必要があります。
初心者にお奨めする、検索方法
1.日本の商標登録数は170万件以上あり、毎日400件程度が申請されます。
2.呼称まで対象のため、調べればほとんどのケースで、類似商標が出てきます。
まずこの現実をご理解ください。その上で、次のように進めて頂くのが、良いと思います。
1.簡易検索を使って、なるべくヒット数の少ない言葉を考える。
2.次に商標出願・登録情報で、称呼において検索する。
3.類似群コードと区分を調べ、競合しないかどうか確認する。
以上、商標検索の方法をご説明しました。
なお区分表と類似群コードは、下記で調べることが出来ます。
ご覧いただければ、分かりますが、区分と類似群コードは、世の中にある全ての製品を分類したものです。非常に細かくなっており、初心者の方が自分の類似群コードを知るのは、とても困難です。
実際に申請する時には、信頼できる弁理士に相談するのが現実的な対応です。