先生!商標の出願を考えているんですけど、調査って必要ですか?

今回は特許庁に商標登録出願を行う前に実施する事前調査をテーマに取り上げてみたいと思います。ご自身で出願手続を行う場合にも参考になさってみてください。

先生!商標の出願を考えているんですけど、調査って必要ですか?

ファーイースト国際特許事務所の弁理士・弁護士

1.事前調査の意義

商標権の効力は同一のほか類似の範囲ににまで及ぶため、審査においても登録商標、または先に出願された商標と同一のまたは類似する商標を出願しても審査を通過することはできません。

また、現在審査には平均すると約8カ月かかっています。つまり、出願後8カ月たって出願した商標が使用できないことが判明したのでは、時間的なロスが大きすぎます。

そこで、出願前にこれから出願する商標の登録の可能性について事前に調査を行ってあらかじめリスクを収集して、対応策を考えておくことは非常に重要になります。

2.事前調査の実施

〔1〕商標の決定

商標権は商品またはサービスに使用する名称やロゴマーク等の目印を特許庁に出願・登録して法律によって保護するための制度になります。また、商標権の効力は「商標」と「指定する商品またはサービス」によって決まります。従いまして、自身が出願する商標をあらかじめ決定しておく必要があります。

〔2〕指定商品またはサービスの決定

商標が決定した後は、指定する商品またはサービスを決める必要があります。理由は商標の場合と同じです。

なお、商標登録出願を行う場合、特許庁に権利申請のために提出する書類である願書の指定商品又は役務の記載は、特許庁の定める区分に従い明確に記載することが求められます。

自身が出願する商品またはサービスがどのような表記が適当であり、またどの区分に属するのかがわからない場合には、特許データベース「特許情報プラットフォーム」(https://www.j-platpat.inpit.go.jp /web/all/top/BTmTopPage#)でも検索が可能となっております。参考にしてみてください

〔3〕類似群コードの把握

世の中にあるすべての商品またはサービスには4ケタの数字とアルファベット1文字を組み合わせた「類似群コード」という記号が与えられています。また指定商品又は役務の類否判断のルールとして同じ類似群コードが与えれた商品やサービスは原則として類似として判断されますので、この類似群コードを把握しておくことは非常に重要です。

例えば「化粧品」には「04C01」、「アプリケーションプログラム」には「11C01」、「スマートフォン用カバー」には「11C01」の類似群コードが与えられています。つまり、アプリケーションプログラムの名称として同じ名称が登録されていた場合、その名称はスマートフォン用カバーには登録できないことになります。

〔4〕商標の類否判断

出願する商標と指定する商品またはサービスの類似群コードが判明したら、実際に特許情報プラットフォームで検索してみます。

ここで全くの同一の検索結果がヒットした場合には、商標を変更した方がいいと思います。出願しても登録の可能性は低く、未登録の状態で使用しても最悪の場合登録商標の侵害になってしまう可能性すらあります。

また、類似した商標が発見された場合ですが、商標が類似するか否かの判断はものすごく難しいです。特許庁は、審査官がどのような商標同士を類似と判断しているのか「商標審査基準」を公開しておりますが(https://www.jpo.go.jp /shiryou/kijun/kijun2/pdf/syouhyou_kijun/20_4-1-11.pdf)、ものすごく難しいです。例えば、商標の読み方が一音の相違でしたら、原則として類似する商標に該当してしまします。商標が類似するか否かの判断は専門知識よ要する判断になります。できれば専門家の見解を受けておいた方がいいと思います。

〔5〕その他

実は商標の類似は画一的に決まった概念ではありません。例えば、登録商標が誰でも知っているような世界的に有名な商標のような場合には、類似の範囲が広がるといわれています。また、このような有名な商標との関係においては、商標法のみならず、不正競争防止法上の問題が生じることもあります。

つまり、自らがこれから出願しようとする商標をインターネットで検索して、その検索結果を検証してみることも立派な調査になります。

3.まとめ

商標登録出願における事前調査は、これから出願する商標が審査においてどのような審査結果が下される可能性があるのかを事前に把握するという大きな意味を持ち、非常に重要な事前準備です。

事前に可能性を把握しておくことで、商標を変更することで時間的・費用的な無駄を回避できますし、ダメ元で出願しても二本目の矢を準備しておこうこともできます。

ただし、誤った判断に基づいて行動すると、最悪の場合他人の権利侵害を起こしてしまう危険も伴います。判断に迷った場合には、専門家に相談することをお勧めいたします。

ファーイースト国際特許事務所
弁理士 秋和 勝志
03-6667-0247

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