商標ともかかわりの深い、お米の品種名と由来について

無料商標調査 商標登録革命

(1)お米の品種名は、ひらがなで?カタカナで?

(1–1)国や都道府県によって開発される新品種

現在、日本では、数百種類ものお米の品種があるといわれています。
そのなかで「コシヒカリ」のようにカタカナで表記されるものと、「あきたこまち」のようにひらがなで表記されるものには、どのような違いがあるのでしょうか?

その理由には、それぞれのお米がうまれた場所や背景が関係しています。

以前、農作物の品種改良は国によって行われており、国が指定する試験場でうまれた新品種には、カタカナの名前がつけられていました。

その後、各都道府県でも品種改良が行われるようになり、それぞれの試験地で生まれたものは、国と区別するためにひらがなで名付けられるようになります。

そのため、品種名の表記をみれば、それが国によって開発されたものか、各都道府県によるものかが判明したのです。

稲刈りのイメージ画像

(1–2)個性あふれる品種名へ

そして、時代は流れていき、品種名の表記への考え方も変わっていきます。
1991年に開発された「ひとめぼれ」は、ひらがなで表記されていますが、国が指定する試験場でうまれたものです。

そして、名称への規制が緩まったことを受け、さまざまな工夫を凝らした名前が付けられるようになります。

近年では、それぞれの土地やお米の特徴を生かし、人々の関心を引くような名前も付けられています。
青森県で開発された「青天の霹靂(へきれき)」や、熊本県産の「森のくまさん」など、いずれもユニークな名前となっています。

お米の味はもちろん、品種名も大切な個性となっているんだね。

[参考:「お米アドバイザー」http://www.okome-adv.jp/knowledge/cat11/post-14.html]

(2)品種名に込められた思いとは?

(2–1)さまざまな品種の特徴と由来を知りましょう

数多くあるお米の品種。その1つひとつの名前には、生産者たちの思いや願いを込められています。
また、近年では、一般公募によって名付けられるものも増えてきました。

ここでは、上記(1)で紹介した「コシヒカリ」や「青天の霹靂」とともに、有名な品種の特徴と由来についてご紹介します。

農家のイメージ画像

「コシヒカリ」の特徴と由来

【特徴】

「コシヒカリ」は、長年、日本のお米の作付面積1位を誇っています[1]。
ほどよい粘りと硬さをもち、甘みのある味わいで、日本人に好まれています。
魚沼産の「コシヒカリ」は、高級米の代表格としても知られてきました。

【由来】

この名前の由来は、生産地である新潟県や福井県が、かつて「越の国(こしのくに)」と呼ばれていたことによります。
そして、その国で光り輝くことを願って名付けられました。

「あきたこまち」の特徴と由来

【特徴】

適度の甘みともちっとした食感をもつ「あきたこまち」は、その名が示すように秋田県を代表するお米です。「コシヒカリ」の流れを受け継いでおり、その旨味とともに、あっさりとした味わいが特徴です。

【由来】

平安時代の歌人で、絶世の美女として語り継がれている小野小町は、秋田県湯沢市(旧・雄勝町)小野の里で誕生したといわれています。
これにちなみ、多くの人々においしいお米として愛されてほしいという願いを込めて、品種名に「こまち」という言葉が入れられました。

「ひとめぼれ」の特徴と由来

【特徴】

「ひとめぼれ」は、東北から沖縄に至るまで、さまざまな土地で生産されています。2016年度産の作付面積では、「コシヒカリ」に次いで2位となりました[1]。
口当たりがやわらかく、適度な粘りをもっています。
また、宮城県では「ひとめぼれ」を超える味わいを追求した「プレミアムひとめぼれ」も開発されています。

【由来】

お米の粒に光沢があり、色つやが美しいことから、それに出合った途端にひとめぼれするような品種として名付けられました。

「はえぬき」の特徴と由来

【特徴】

お米の粒がしっかりした「はえぬき」は、ほどよい硬さと弾力をもった、食べごたえのある品種です。
お米の味を評価する「食味ランキング」で、20年以上にわたり、最高位の「特A」を獲得しています。

【由来】

「生え抜き」とは、その土地で生まれ、ずっと育つことを表します。
そのため、米どころである山形県で生まれ育ったオリジナル米としてふさわしいと、一般公募のなかから選ばれました。
ここには、「はえぬき」がこの先もずっと飛躍し続けるように、という思いも込められています。

「青天の霹靂」の特徴と由来

【特徴】

2015年に青森県から発売された粒が大きく、かみごたえのあるお米です。
県産米として、「食味ランキング」で「特A」に輝いた初めての品種となります。

【由来】

「青天の霹靂」という言葉は、晴れた日に突然起こる雷を意味し、そのことから突然の事件や人々を驚かせる変動を表しています。
このお米は、晴れた空に突然現れる稲妻のような存在となってほしいという願いと、青森県の「青」という言葉をかけて名付けられました。

「森のくまさん」の特徴と由来

【特徴】

例年、お米で作付面積の上位を誇る「コシヒカリ」と「ヒノヒカリ」[1]。
それをかけ合わせてつくられ、もちっとした弾力と甘みが特徴となっています。

【由来】

熊本県は、英語教師として赴任した若き日の夏目漱石によって、「森の都」と称されました。
そのため、「森の都・熊本で生産された米」という言葉から、「森の」「熊」「産」を組み合わせるかたちで名付けられたのが、「森のくまさん」です[2]。

販売されているお米のすべてに、それぞれの特徴と由来があるのは、改めて考えるとすごいことだね。

[参考:「お米アドバイザー」http://www.okome-adv.jp/knowledge/cat12
「株式会社ヤマタネ」http://www.yamatane.co.jp/kome/story/brand.html]

(3)商標登録されているお米の品種

(3–1)それぞれの権利を守るために

数多く存在するお米の品種のなかでは、商標として登録されているものもたくさんあります。
ここでは、上記(2)で紹介したものからいくつかご紹介します。

プレミアムひとめぼれ みやぎ吟撰米(商標登録 第5165414号)

ひとめぼれの登録商標
特許庁の商標公報・商標公開公報より引用

  • 権利者:全国農業協同組合連合会
  • 出願日:2006年10月6日
  • 登録日:2008年9月12日

区分は以下の通りです。

  • 第30類「宮城県産ひとめぼれ米」

はえぬき(商標登録 第3179096号)

はえぬきの登録商標
特許庁の商標公報・商標公開公報より引用

  • 権利者:山形県
  • 出願日:1992年6月27日
  • 登録日:1996年7月31日

区分は以下の通りです。

  • 第30類「はえぬき米を使用したみそ、はえぬき米、はえぬき米を使用した強化米、はえぬき米を使用したすし・べんとう、はえぬき米を使用した菓子」など

青天の霹靂(商標登録 第5749625号)

青天の霹靂の登録商標
特許庁の商標公報・商標公開公報より引用

  • 権利者:青森県
  • 出願日:2014年11月13日
  • 登録日:2015年3月13日

区分は以下の通りです。

  • 第30類「菓子、弁当、酒かす、米、食用粉類」など
  • 第32類「ビール、清涼飲料、果実飲料、飲料用野菜ジュース、乳清飲料」
  • 第33類「 日本酒、洋酒、果実酒、酎ハイ、薬味酒」など
豆知識

「おにぎり」と「おむすび」の違いとは?

お気に入りの具を入れて白米を握ったものは、シンプルですがお米のおいしさを堪能できるごちそうです。
けれど、「おにぎり」と「おむすび」。皆さんはどちらの呼び名を使っているでしょうか?
この違いについては、さまざま説が存在しています。

三省堂「大辞林 第三版」では、以下のように記載しています。

「おにぎり」:(もと女性語)にぎり飯を丁寧にいう語。おむすび。
「おむすび」:にぎり飯を丁寧にいう語。おにぎり。
「握り飯」:握り固めた飯。中に梅干し・塩鮭などを入れ、海苔で巻いたりする。にぎり。おにぎり。
三省堂「大辞林 第三版」より引用

これをみるかぎりでは、はっきりとした違いはありません。
また、そのほか、かたちや地域などの違いとしては、以下の表のような説があります。

おにぎり おむすび
かたち どんなかたちでもよい 三角形でなければいけない
地域 日本の大部分(東京と神奈川を含む) 関東から東海道にかけて
意味合い 「握り飯」が転じたもの 米を山型(神の形)にかたどって食べ、神の力を授かろうとしたもの
記念日 「おにぎりの日」6月18日
(「焼きおにぎりの日」10月8日)
「おむすびの日」1月17日

こうしてみると、それぞれの背景があり、「おにぎり」も「おむすび」も、私たちの食に深くなじんだものであることがわかりますね。
おにぎりのイメージ画像

[参考:「日本おにぎり協会」https://www.onigi-re.com/knowledge/history]

(4)まとめ

いかがでしたか?
ひとくちにお米といっても、さまざまな特徴があり、その品種名には、それぞれの思いや願いが込められているのですね。
普段、何気なく口にしているお米だからこそ、改めて関心を寄せてみてはいかがでしょうか。
それは食卓の話題の1つとなり、自身の食をみつめ直すきっかけにもなってくれるかもしれません。

新米のおいしい季節。
炊きたてのご飯の甘みや旨味とともに、そのお米が開発され、食卓に届くまでの背景も味わってみては?

ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
03-6667-0247

[参考]

  • [1]公益社団法人米穀安定供給確保支援機構
  • [2]JAグループ熊本 くまもと売れる米づくり推進本部

無料商標調査

あなたの商標が最短1ヶ月で登録できるかどうか、分かります
識別性を判断することで、商標登録できるかどうか、分かります
業務分野の検討が、商標の価値を最大化します

コメントする