多くの人に親しまれる「江戸」に関係する商標

いまも東京では、所々で江戸の名残を目にすることができます。1603年から265年間続いた江戸時代は、幕府と藩による統治と改革を経て、独自の町人文化を築いていきました。「粋」という考え方も、この時代に生まれたものです。町人たちの活躍は、現代の人々にもなじみ深いものであり、「江戸」という言葉を含む商標は数多く登録されています。ここではどのようなものがあるか、一例をご紹介していきます。

(1)「江戸」の名前を戴く地域団体商標

(1−1)いまも息づく職人たちの技

江戸時代、幕府は京都から名工を呼び寄せ、職人たちの育成に力を注ぎました。
そして町人文化が栄えた頃には、江戸の人々に愛された名品が数多くつくり出されます。

このような伝統工芸品などは、時代を越えて技術が受け継がれていき、現在は、地域団体商標として登録されているものもあります。

地域団体商標とは、地元の人々が自身でブランドを守れるよう、2006年に導入されたものです。
それまで難しかった「地名+商品内容」だけの商標が登録可能となったため、地域ブランドを保護・育成し、地域の活性化により貢献できるようになりました。

以下の表は、「江戸」の名をもつ地域団体商標です。

登録番号 商標 権利者 [区分]指定商品・指定役務
第5002296号 江戸甘味噌 東京都味噌工業協同組合 [30]東京産の甘口みそ
第5026441号 江戸押絵羽子板 東京都雛人形工業協同組合 [28]東京に由来する製法により東京都墨田区・葛飾区で生産された押絵羽子板
第5026442号 江戸衣裳着人形 東京都雛人形工業協同組合 [28]東京に由来する製法により東京都足立区・荒川区・ 葛飾区・杉並区・台東区で生産された衣裳着人形
第5026443号 江戸木目込人形 東京都雛人形工業協同組合/岩槻人形協同組合 [28]東京に由来する製法により東京都荒川区・足立区・ 墨田区・台東区および埼玉県さいたま市岩槻区で生産された木目込人形
第5027720号 江戸木版画 東京伝統木版画工芸協同組合 [16]東京に由来する製法により東京都荒川区・新宿区・ 足立区・台東区・中央区・文京区・目黒区・練馬 区・西東京市・千葉県松戸市および茨城県常総市において生産された木版画
第5030080号 江戸甲冑 東京都雛人形工業協同組合 [28]東京に由来する製法により東京都荒川区・葛飾区・ 墨田区・台東区・文京区で生産された五月人形として飾るための甲冑
第5043503号 江戸指物 江戸指物協同組合 [20]東京都台東区およびその他周辺地域において生産される家具(指物に限る)
第5085277号 江戸切子 江戸切子協同組合 [14]東京地方に由来する製法により東京都江東区・墨田区・葛飾区・江戸川区およびその周辺で生産されたガラス製ブローチ・ループタイ・時計など
[21]東京地方に由来する製法により東京都江東区・墨田区・葛飾区・江戸川区およびその周辺で生産されたガラス製徳利・盃・皿・グラスなど
[40]東京都江東区・墨田区・葛飾区・江戸川区およびその周辺で行われる東京地方に由来するガラスの加工
第5100407号 江戸からかみ 江戸からかみ協同組合 [16]東京都・千葉県柏市・埼玉県加須市・埼玉県鳩ヶ谷市・埼玉県比企郡小川町で生産された襖・壁・天井・障子・屏風用の加飾された和紙
第5127141号 江戸更紗 東京都染色工業協同組合 [24]東京都で更紗染めした綿織物(畳べり地を除く)・ 絹織物(畳べり地を除く)
第5246082号 江戸小紋 東京都染色工業協同組合 [24]東京都で染色した小紋染織物

江戸時代から受け継いできた技術があるなんて、すごいね! 

この先も守り続けるために、地域団体商標が役に立つのね。

(2)羽田空港で江戸情緒に浸る「江戸小路」

(2−1)日本の玄関口で気軽に親しめる江戸の街

羽田空港国際線旅客ターミナルの4階には、「江戸小路」と名付けられた場所があります。

江戸の街並みが再現されたこのエリアには、ショップやレストランが並び、「江戸舞台」というイベントが行われるスペースもあります。

気軽に江戸情緒に浸れ、写真映えのするスポットも多いため、海外からの観光客に人気があります。
より「日本的なもの」を期待する観光客に喜んでもらうためには、江戸の風情はぴったりなのかもしれません。

(2−2)「江戸小路」の商標登録

「江戸小路」はいくつかの商標が登録されています。
そのうちの1つを以下でご紹介します。

江戸小路(商標登録 第5383732号)


特許庁の商標公報・商標公開公報より引用

  • 権利者:東京国際空港ターミナル株式会社
  • 出願日:2010年7月26日
  • 登録日:2011年1月14日

区分は以下の通りです。

  • 第35類「衣料品・飲食料品および生活用品に係る各種商品を一括して取り扱う小売または卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、かばん類および袋物の小売または卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、身の回り品の小売または卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、家具の小売または卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、印刷物の小売または卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」など
  • 第41類「映画・演芸・演劇または音楽の演奏の興行の企画または運営、映画の上映・制作または配給、音楽の演奏、娯楽施設の提供、図書および記録の供覧」など
  • 第43類「飲食物の提供、会議室の貸与、展示施設の貸与」

(3)江戸を深く知り、未来を考える「江戸文化歴史検定」

(3−1)江戸時代の文化に親しむ検定

戦乱のない日々が続いた江戸時代は、暮らしのなかから多くの流行や芸能が生まれ、多彩な文化が花開いた時期でもあります。
さまざまな行事や祭りが行われ、街が活気あふれていたのもこの頃です。

そんな江戸時代の文化や知恵を学び、この先の日々に生かすことを目的としているのが、「江戸文化歴史検定」です。

(3−2)江戸を愛する幅広い年齢層に人気

「江戸文化歴史検定」は、2006年に第1回が実施されてから、毎年行われています。
主催は江戸文化歴史検定協会。これは江戸東京博物館や小学館によって設立されたものです。

検定は、入門編の3級から、やや難易度の高い2級、ガイドとして通用するレベルの1級まで、3つの等級があります。

受験者の年齢層は幅広く、これまで10代から90代まで、多くの人が挑戦してきました。

開催当初、試験は年1回の実施でしたが、2014年からは夏に行われる「夏検」と、秋の「本試験」の2回実施された年もあります。

2017年の「夏検」は8月に終了し、本試験は11月3日(金・祝)に東京・名古屋・大阪の3都市で実施予定です。
詳しい情報は以下のURLで確認できます。

チェックしてみましょう

 「江戸文化歴史検定」 http://www.edoken.jp/index.html

(3−3)「江戸文化歴史検定」の商標登録

「江戸文化歴史検定」の商標は2種類あります。
協会の設立に携わり、公式テキストも発行している小学館によって登録されています。

江戸文化歴史検定(商標登録 第5007315号)


特許庁の商標公報・商標公開公報より引用

  • 出願日:2006年6月2日
  • 登録日:2006年12月1日

江戸文化歴史検定(商標登録 第5017378号)


特許庁の商標公報・商標公開公報より引用

  • 出願日:2006年8月2日
  • 登録日:2007年1月12日

江戸時代はとっても奥が深いから、学びがいがあるね。

昔のことを知ると、未来へのヒントもみつかるかもしれないね。

(4)まとめ

「江戸」という言葉を含んだ商標は、まだまだたくさんあります。
それは、独自の文化を築いて発展した江戸に、親しみを覚える人が多いからかもしれません。

約150年前まで東京に広がっていた光景。
休日に古地図を片手に街を歩き、江戸の名残を探すのも楽しそうですね。
もしかしたら、老舗ののれんに染め抜かれた商標は当時と同じものかも…。
そう考えてみると、いっそう江戸や商標が身近に感じられるかもしれません。

ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
03-6667-0247

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