商標登録の話題

商品名やサービス名、会社名や店名等のネーミングを守る法律として商標法や不正競争防止法等があります。

不正競争防止法による保護を受けるためには特に権利を得るために特許庁や文化庁等の登録を受けておく必要はありません。

このため不正競争防止法で商標が保護されるならわざわざ商標登録をする必要はないのではないか、との議論があります。

不正競争防止法も商標法も競業秩序を保護する法律である点で一致しますが、保護を受けるための要件が異なります。

不正競争防止法による保護を受ける場合には、保護を受ける商標が一定以上有名である等の要件が必要になります。

ところがどの程度有名であれば不正競争防止法の適用を受けることができるか、という点については問題があります。不正競争防止法の保護を受けるためには保護を受ける側に立証の義務があるからです。

これに対し、商標登録の場合には、相手の使用している商標とこちらの登録商標が似ているかどうかだけで決着がつきます(指定商品や指定役務が重複していることが条件ですが。)。

つまり不正競争防止法の場合には特段権利確保のための費用が必要でないという利点がありますが、権利行使が難しい側面があります。

これに対し、商標登録の場合には商標権の取得に特許庁に対して費用の支払いが必要になりますが、権利行使の際に商標が有名かどうか等の要件は問われないという利点があります。

不正競争防止法により保護されているので商標登録をする必要がない、と考えていると、先に他人に商標登録されてしまう場合もあります。

この場合には他人の商標登録を取り消すことは不可能ではないかも知れませんが、取り消すまでに費用と時間と手間がかかります。

このため大切な商標については商標登録により保護するのがセオリーです。

ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
03-6667-0247

商標権

こちらに協力してくれるなら問題は生じないが

相手方が使用している商標がたまたまこちらの商標権の内容と衝突していた。この点を指摘したら相手方も納得して商標権の侵害回避に協力してくれた・・・

こんなケースであれば問題も生じないのですが場合によっては確信犯的にこちらの権利の侵害を行おうとする悪質模倣業者があるかも知れません。

今回は確信犯対策について説明致します。

パロディ商標なら商標権侵害にならないのか

説明のための仮想事例として、「松下電器産業」の社名を模倣した「マネした電気産業」という会社が、「パナソニック」をもじった「バカソニック」というマークの付された商品の発売を開始した、とします。

悪徳業者である「マネした電気産業」は、「うちは秋葉原の小さな三流電気屋であり、大手の松下産業と間違えられることはありえない。誰もうちの会社が一流の会社と一緒とは思わないし、逆にパロディとして好意的に世間からは受け止められている。」との主張をした、と仮定します。

実際に「マネした電気産業」が存在したとすれば流通業界から締め出されるでしょうから、いずれつぶれてしまうでしょう。ですから今回と同じ事例は現実には存在しないと思います。

でも「パロディだから問題がない。誰も間違えないので誰にも迷惑はかけていない。」、との主張は果たして認められるのでしょうか。

今回の場合とケースが異なるかも知れませんが、すれすれ権利の外側にいてこちら側の信用を悪用しようとする業者がいるかも知れません。
この様な悪徳業者が本当にいた場合にはどのように対抗すればよいのでしょうか。

方法は色々あります。

特許権による模倣排除

まず一つめ。アイデアの側面は特許権で保護されています。

「松下電器」の持つ特許権を無断で「マネした電気」側が使用することはできません。

実用新案権による模倣排除

二つめは商品の形状や構造に関する小発明は実用新案権で保護されています。

基本アイデアのみならず形状や構造に関しても実用新案権で保護されている場合があります。

商標権による模倣排除

三つめは、シンボルマークや社名、デザインマークは商標権で保護されています。

「パナソニック」と「バカソニック」が仮に似ていないとしても、「マネした電気」が商標のデザインを巧妙に替えてパナソニックと間違えるような表記方法を実際に使っていたとしたら商標権侵害で訴追することができます。

意匠権による模倣排除

四つめは、デザインの側面は意匠権により保護されています。

見た目がそっくりの場合には、デザインに関する権利侵害で相手方の販売停止等を求めることができます。

不正競争防止法、著作権法による模倣排除

この他にも不正競争防止法、著作権法等の法律の保護を受けることができます。

仮に相手側がパロディであり誰にも迷惑をかけていないと主張したとしても、権利の侵害が実際に生じている場合があります。権利の侵害に対してはそれぞれの法律を適用することにより侵害を排除することが可能になります。

ファーイースト国際特許事務所
弁理士 平野 泰弘

03-6667-0247