会社の登記と登録は何が違うのか?

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(1)会社の設立登記とは?

会社の設立登記を行って会社が誕生します

会社を設立することが決まったなら、法務局に会社の設立登記をする必要があります。例えば株式会社の場合はその本店の所在地で設立の登記を済ませることにより設立が認められます(会社法第49条)。

会社を設立しました、と自分で社会に対して宣言するだけでは足りないです。

会社の登記はどこに申請する?

会社の設立登記は法務局に行います。実際にはその地域を管轄する法務局に対して手続を行うのが基本です。

会社の登記は誰にお願いする?

会社の設立登記の専門家は司法書士です。会社設立について分からないことが生じた場合や、手続きをお願いする場合は司法書士に相談します。

会社名を登記する意味は?

会社は法人と呼ばれる通り、法律上は一つの人格があるように扱われます。その一人格が名乗る名前が商号であり、いわゆる会社名と呼ばれるものです。

会社の名前は商号と呼ばれます(会社法第6条第1項)。

会社の設立登記により、他社の会社名使用を制限できるか

以前は似た商号を近隣地域で使用してはいけないとの法律がありましたが、現在では撤廃されています。このため、どのような会社名を採用するのかは原則自由です。

ただし、他の業種と勘違いされるような会社名とか、他の会社名を不正目的で横取りするような会社名は採用できないことになっています(会社法第6条、第8条)。

法律上の会社名使用制限には、会社名を採択した側に不正目的があることが要求されています。

このためたまたま会社名が一致していた、というだけではその会社名を採用した側に不正の目的があるということはできません。会社の設立登記によっては、他の会社に対して会社名の使用制限を求めることは基本的には困難です。

(2)会社の商標登録とは?

会社名を特許庁に対して商標登録することができます。

会社を設立する以上は必ず法務局に登記する必要があります。これに対して、会社名を必ず特許庁に商標登録をしなければならないか、というとそのような法律上のしばりはありません。

会社の商号と会社の商標との違いとは?

会社の名前は商号と呼ばれます(会社法第6条第1項)。会社も法律上の一人格ですからそれぞれの会社を識別するための名称が必要になります。商号は、一つひとつの会社をそれぞれ示す名前です。

これに対して会社の商標は、会社が商品や役務を販売提供する際に、その商品や役務について使用するものです。

商号は会社そのものの名前を意味するのに対して、商標は会社が提供する商品や役務に表示されるものです。

このため商号は会社名と一致していますが、商標は会社名と一致している必要はありません。会社名の文字表記でもよいし、会社名以外のマークや記号などの表記でも法律上の商標として認められます。

具体的な商品などの業務に付随して権利が発生するのが商標権です。

会社名の商標登録を行って商標権が誕生します

会社名も商標登録の対象になります。このため会社名を特許庁に登録すれば、その会社名を他の業者が商品や役務に対して使用することが制限されます(商標法第25条、第37条)。

会社名の登録はどこに申請する?

会社名の登録は特許庁に行います。会社登記の場合は各地にある法務局に対して手続が可能ですが、商標登録の場合は、日本に一つだけある特許庁に対して手続を行います。

会社名の登録は誰にお願いする?

会社名の登録の専門家は弁理士です。商標登録について分からないことが生じた場合や、手続きをお願いする場合は弁理士に相談します。

会社名を登録する意味は?

会社名が商標登録されると、他の業者はその商標を使って商品の販売や役務の提供などの行為が制限されます。

商標はそもそも商品や役務の識別標識なので、事業として商標を商品や役務に使う場合に商標権による保護を受けることができます。

有名な会社名の場合は、不正競争防止法により、商標登録が済んでいなくても法律上の保護を受けることができます。しかし不正競争防止法による保護を受けるためには相当程度有名であることを裁判所で認定してもらう必要がありますが、これが簡単ではありません。

これに対して会社名を商標登録しておけば、会社名自体は有名でなくても商標法の保護を受けることができます。

(3)商標権で商号の使用をやめさせることはできるか?

具体的な表示の仕方で結論が分かれる

商号には商標権は働かない、という話を聞いたことがある方がいるかも知れませんね。これは不完全な情報なので鵜呑みにはしない方がよいです。

商標法では、会社名について、「普通に用いられる方法で表示されている」場合に限って商標権の効力の対象外になると規定しています(商標法第26条)。

つまり、例外的に普通に表示される商号表記には権利が及ばないと規定されているだけなので、通常の表記を離れた場合には全てアウトになります。

一例として、東京パンダ株式会社との商号が商標登録されているとします。この場合、住所表記や会社名表記と同等の表記として下記の図1に通常の字体で表記する場合には商標権の射程対象外です。

図1 商号を通常の形で表示した場合

商号を普通に用いられる方法で表示した具体例

これに対して東京パンダ株式会社との商号を適宜変更してデザインを加えて、商標権に関係する商品や役務の表示として商標を使用した場合には商標権の侵害になります。

図2 商号にデザインを加えて変形表示した場合

商号を普通に用いられていない方法で表示した具体例

会社の設立登記を済ませれば、以降は自由に商号を使うことができるわけではないことに注意が必要です。

(4)まとめ

会社を設立してもその会社名の商標登録まで義務付けられているわけではありません。このため会社名や会社表記が商標登録により保護されることをご存知ない方も多いです。

他人に会社名を先に商標登録されてしまうと、以降の営業の自由度が制限されてしまうため後で不利になってしまう場合も考えられます。

必要な商号については商標登録により保護しておく必要がないか、一度専門家と相談されることをおすすめします。

ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘

03-6667-0247

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