印鑑は特許庁でどう扱われますか?

ご多分に漏れず、特許庁への手続も今はオンラインが主流です。しかし、印鑑を押した書面の提出が要求される場面もまだまだあります。例えば、我々弁理士がお客様から代理権をいただいていることの証明である委任状や、商標権などの権利を第三者に譲渡したことの証明である譲渡証書などです。また、代理人なしで商標の出願をする際には、願書への押印が必要なケースもあります。

印鑑は特許庁でどう扱われるか

ファーイースト国際特許事務所の弁理士・弁護士

押印した書面を提出すると、それが特許庁であなたの印鑑として登録されます。でも、何年も前の願書に押した印鑑なんて忘れてしまうこともありますよね?(いや、できれば忘れずにいてほしいのですが…。)そこで今回は特許庁における印鑑(特に会社の印鑑)の取扱いについてお話ししましょう。

1.会社の印鑑

会社を設立する際には3種類の印鑑(ゴム印を入れると4種類)を作成することが一般的です。

(1)代表者印

いわゆる会社の「実印」です。会社の「代表者」さん個人の印ではないですよ。念のため。

会社の設立登記の際に登記所に提出し登録を受けますので、会社に絶対ある一番大事な印鑑です。そして、会社の印鑑証明書が取れる印鑑です。

一般的には二重構造の丸印で、外側に円周に沿って社名、内側に「代表取締役之印」と彫られたものが多いですが、これは決まりではありません。「1辺が1センチメートル超え&3センチメートル以内の正方形に収まる大きさ」という決まりはありますが、形や構造には特に制約はありません。つまり形が丸でなくても二重構造でなくても、それだけでは認められない理由にはならないのです。

そのため、例えば会社名の他にイラストを入れた印鑑でも代表者印にできる場合はあります。

(2)銀行印

銀行との取り引きに使う印鑑です。口座を作るときに銀行に届け出ます。

銀行印として代表者印を使ってしまうこともできますが、リスク回避の観点から兼用はしないことが一般的です。

(3)社印

社名が彫られた、いわゆる会社の「認印」です。

正方形のものにすることが多いので「角印」と言われますが、これも決まりではありません。

見積書や請求書に使う、出番の多い「普段使いの印鑑」といったところでしょうか。

(4)ゴム印

上の3つとは少々種類が異なりますが、会社の住所や社名・代表者のお名前のゴム印を作成しておくと、いちいち手書きする手間と労力が省けて便利です。

2.特許庁における印鑑の取扱い〜会社編〜

このように、会社は通常いくつかの印鑑を持っています。

しかし、上記の「一般的な代表者印の構造」以外の印鑑を押した書面を提出すると、特許庁は確認のため指令を出し、すぐには受理してくれないのです。また上記の「一般的な代表者印の構造」の印鑑であってもそれが特許庁に登録されている印鑑と一致しない場合は同様に指令を受けてしまいます。

もし指令を受けてしまった場合、どうしたらいいでしょうか?

(1)押した印鑑が本当に「代表者印」である場合

本当にその印鑑が「代表者印」である証拠である「印鑑証明書」を提出すれば解決です。

(2)押した印鑑が実は「代表者印」ではない場合

「代表者印」を押した書面を再提出しましょう。

もし「代表者印」が上記「一般的な代表者印の構造」以外の場合には、一緒に「印鑑証明書」を提出するとスムーズに進むと思われます。

(3)押した印鑑は本当に「代表者印」であるが、特許庁が登録している印鑑と違う場合

(方法1)

特許庁が登録している印鑑を押した書面を再提出する。

(方法2)

「印鑑変更届」を提出することで、特許庁が登録している印鑑を「代表者印」に変えてもらう。

どちらでも解決します。

ただし、今後の特許庁への手続をスムーズにするためにも(方法2)の「印鑑変更届」の提出をお勧めします。

(4)押した印鑑が実は「代表者印」ではなく、かつ特許庁が登録している印鑑も「代表者印」以外の場合

(方法1)

特許庁が登録している印鑑を押した書面を再提出する。

(方法2)

「印鑑変更届」を提出することで、特許庁が登録している印鑑を「代表者印」に変えてもらう。

このケースもどちらでも解決します。

ただし、今後の特許庁への手続をスムーズにするためにも(方法2)の「印鑑変更届」の提出をお勧めします。

(5)会社名を変えたが、「代表者印」を変えていないため、現在の「代表者印」に彫られた社名が現在の社名と違う場合

(方法1)

「印鑑証明書」を提出する。

(方法2)

まず「代表者印」を現在の社名の彫られた印鑑に変え、その上で「印鑑変更届」を提出することで、特許庁が登録している印鑑を「代表者印」に変えてもらう。

このケースも、今後の特許庁への手続をスムーズにするためにも(方法2)での対応をお勧めします。

3.特許庁における印鑑の取扱い〜個人編〜

会社の場合のような制限は特にありません。

しかし押した印鑑が特許庁に登録されてしまいますので、三文判は避けてくださいね。あとスタンプ印(朱肉を使わない印鑑)もダメですよ!

4.過去に特許庁に提出した書面に捺印した印鑑を忘れてしまったら

残念ながら、我々代理人が特許庁に問い合わせても教えてはもらえないのです。

そのため、みなさんご自身で特許庁に電話をして聞いてみてください。

特許庁TEL 03-3581-1101(代表)

特許庁の担当の方が親切に教えてくれます。

5.おまけ

(1)「印」と「印鑑」

印鑑とは「あらかじめ市町村長や銀行その他取引先などに提出しておく特定の印影。」「印。印章。」
(広辞苑より引用)

そのため、今回はいわゆる「はんこ」そのものを指す場合にも「印鑑」の表記を使っています。

(2)「朱文」と「白文」

みなさんの印鑑は押したときに文字が赤く出ますか?それとも周りが赤くて文字の部分が白く表れますか?

朱肉を付けて捺すと文字が赤く出る彫り方の印鑑を「朱文」、朱肉を付けたときに文字が白く浮き出る彫り方の印鑑を「白文」といいます。

日常生活やビジネスシーンで見かける印鑑はほぼ「朱文」でしょう。

一方「白文」は書画の落款などで見かけると思います。

6.まとめ

代表者印に限らず、印鑑を押すということは、その行為に会社やあなたの「意思」が入っているということをあらわします。

そのため、印鑑はしっかり管理して適切に使いましょう。

それではまた。

ファーイースト国際特許事務所
弁理士 杉本 明子
03-6667-0247

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