何もしなくても早く審査してもらえるかも?〜「ファストトラック審査」とは〜

少しでも早く商標登録を受けたいと思われている皆様に朗報です!この度、商標登録出願に「ファストトラック審査」という制度が試験導入されることになりました。今回はこの「ファストトラック審査」について説明します。

何もしなくても早く審査してもらえるかも?〜「ファストトラック審査」とは〜

ファーイースト国際特許事務所の弁理士・弁護士

1.商標登録出願の審査について

(1)通常審査 と(2)早期審査 の2つのコースがあります。

(1)の通常審査のコースでは、最初の審査結果(登録査定or拒絶理由通知)のお知らせがくるまで、出願から8〜9ヶ月かかっています。

一方、(2)の早期審査のコースに入るためには、特許庁に申し出なければなりませんが、認められれば、申し出てから2ヶ月程度で最初の審査結果(登録査定or拒絶理由通知)を受け取ることができます。

以前は(1)の通常審査のコースでも、出願から5〜6ヶ月で審査結果を受け取れたことから考えると、随分時間がかかっているように思われますが、これは出願件数の増加によるものです。

特許出願等統計速報によると、2013年の国内の商標登録出願件数は約10万件ですが、今年(2018年)は7月の時点ですでに9万9000件を超えています。

ただし、皆様ご存知のように、不備のある出願が大量にあるため、全出願が登録できるかどうかの審査まで辿りついているわけではありませんが、問題の出願を差し引いても、出願件数UPは明らかでしょう。

今回試験導入される「ファストトラック審査」は、その間をとった第3のコースといったところでしょうか。

<参考>
特許庁サイト
商標審査着手状況(審査未着手案件)
https://www.jpo.go.jp/ torikumi/t_torikumi/cyakusyu.htm

ちなみに現時点の審査結果通知までの実測期間はこちらです。
 ↓  ↓

【速報】商標登録審査期間の最新実測値

2.ファストトラック審査とは?

商標登録出願件数が急激に増加する中においても迅速・的確な審査を実現すべく、種々の施策を行っているところですが、今般、その一環として、指定商品・指定役務の記載が一定の条件を満たす商標登録出願について通常よりも早く審査を行う運用(ファストトラック審査)を試行的に開始します。
特許庁サイトより引用

まだテスト段階のため変わる可能性がありますが、今のところ通常審査よりも2ヶ月程度早くなる予定とのことです。

(1)どんな出願が対象?

大多数の出願人が少しでも早く審査結果を知りたいと思う中で、早く審査結果をもらえるのですから、やはりある程度制限がかかってしまいます。
ファストトラック審査の対象となるためにクリアすべき要件がいくつかあります。

(要件1)「出願時」の指定商品・役務が決められたリストに掲載されたもののみであること

決められたリストとは、下の3つです。

なお、詳しくはそれぞれの下のリンクのサイトをご参照ください。

  • 類似商品・役務審査基準
    https://www.jpo.go.jp/ shiryou/kijun/kijun2/ruiji_kijun10.htm
  • 商標法施行規則別表
    http://law.e-gov.go.jp/ htmldata/S35/S35F03801000013.html(外部サイトへリンク)
  • 商品・サービス国際分類表(ニース分類)
    https://www.jpo.go.jp/ shiryou/kijun/kijun2/kokusai_bunrui.htm

でも指定したい商品や役務が掲載されてるか、これらのリストを端から探していくのは大変です。
そんな時に便利なのが、J-PlatPat(特許情報プラットフォーム)の「商品・役務名検索」です。

この検索結果で、緑色の「基」マークまたは赤色の「N」マークが表示されていると、ファストトラック審査の対象になる商品・役務です。

検索の際に、「データ種別」の緑色の「基」マーク(類似商品・役務審査基準)と赤色の「N」マーク(商品・サービス国際分類表(ニース分類))のみにチェックを入れれば簡単です。

そんな時に便利なのが、J-PlatPat(特許情報プラットフォーム)の「商品・役務名検索」画面

例えば上の図の例ですと、「ウォッカ」はOKですが、「ウォッカをベースにしたカクテル」「風味を加えたウォッカをベースにしたカクテル」の記載があると、ファストトラック審査の対象外になってしまいます。

(要件2)出願〜審査着手までに、指定商品・指定役務を補正していないこと

例えば出願後に記載ミスに気がついて、指定商品や指定役務の補正をしてしまったら、ファストトラック審査の対象から外れてしまいます。
そのため、ファストトラック審査を受けたい場合には、出願前の検討やチェックがより大切になってきます。

(要件3)2018年10月1日以降の出願であること

残念ながら、先月までに出願してしまったものについては、対象となりません。

(要件4)出願に係る商標や出願のタイプによっては対象にならない場合があること

いくら上の3つの要件をクリアしても、「音響商標」や「色彩のみの商標」といった新しいタイプの商標に係る出願や国際商標登録出願(日本を指定した、いわゆるマドプロ出願)については、ファストトラック審査の対象にはなれないのです。

(2)手続や費用は?

特に手続は必要ありません。

また追加の印紙代もかかりません。

つまり、要件をクリアしている出願は、出願人が望もうと望むまいと、少しだけ早く審査結果を受け取ることになるのですね。

<参考>
特許庁サイト
商標審査に「ファストトラック審査」を導入します
https://www.jpo.go.jp/ torikumi/t_torikumi/fast/shohyo_fast_donyu.htm

3.まとめ

特別な手続をせずに早く審査結果を知ることができる「ファストトラック審査」ですが、商標登録を受けたい人のすべてにとってベストな選択といえるのでしょうか?

そこで次回は、「ファストトラック審査」を選ぶべきかどうか、これまでにも実施されていた「早期審査」と比較しながら検討したいと思います。

それではまた。

ファーイースト国際特許事務所
弁理士 杉本 明子
03-6667-0247

よく読まれている記事

議論に参加する

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です