先生、この商標やっぱり一般名称ですよね?(後半)

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1.四号

「ありふれた氏又は名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」(四号)

ありふれた氏等についての規定です。具体的には「山田」「タカハシ」「HIRANO」等が当てはまります。

多分「秋和」は適用してもらえないと思います。ありふれているか否かの判断は個別に行われますが、以前は特許庁審査官は本号に該当するのか否かを判断する際に50音別電話帳を参考にしていたそうです。

また、ありふれた名称は例えば、地理的名称や上記のありふれた氏に業種名や株式会社などの法人の種類を表す文字を付け加えた場合等が該当しますが、一見するとありふれた名称に該当しそうな場合でも、他に同一の商標が確認できなかった場合、本号に該当しない場合もあるようです。

なお、ここも「普通に用いられる方法で表示する標章」ですので、一号と同様に商標をロゴマークと一体としたり、ロゴタイプのように見た目に特徴性を持たせた商標で出願した場合には、本号の適用はありません。

2.五号

「極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標」(3条第1項五号)

極めて簡単、かつありふれた標章についての規定です。

具体的には、「単なる円」や「直線」または立体的形状であっても「ありふれた立方体」等が挙げられます。

商標が単純であり、あまり特徴的でない場合、商品やサービスを識別するための「目印」として機能しないため、そのような商標を登録の対象から除外するために設けられたのが本号になります。また、数字は桁数にかかわりなく原則として本号に該当します。

なお、特許庁が公表する「商標審査基準」を確認してみると本号には以下のような記載があります。

「(1) 「極めて簡単で、かつ、ありふれた標章」に該当するものとは、例えば、次のものをいう。
(イ) ローマ字について
② ローマ字の2字を「-」で連結したもの」(商標審査基準〔改訂第13版〕より)

その一方で以下のような記載もあります。

「(2)「極めて簡単で、かつ、ありふれた標章」に該当しないものとは、例えば、次のようなものをいう。
(ア) ローマ字の2字を「&」で連結したもの」(商標審査基準〔改訂第13版〕より)

つまり、審査基準の記載によると、商標が「A-B」であるか「A&B」であるかによって審査を通過することができるのか、拒絶理由に該当するのかが分かれてしまうことになります。

3.六号

「前各号に掲げるもののほか、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」(3条第1項六号)

識別力がない商標についての総括規定です。一号から五号のどこにも該当しない商標であっても、やはり識別力がない商標であると判断された場合には、本号に該当するとして拒絶されます。

本号でもっと話題に上がるのが、いわゆるキャッチフレーズやタグライン等の広告的な宣伝文句の取り扱いについてです。

ここでも審査基準の確認してみると、「指定する商品またはサービスの宣伝広告等の商品またはサービスと直接的な関連性が弱く、企業理念や経営方針等を表示する標章のみからなる商標は、指定する商品またはサービスとの関連性や、商品またはサービスの取引の実情、商標の構成等の具体的な要素を総合的に勘案した上で判断する」、と記載されております。

要するにここでも個別具体的な判断がなされ、画一的な基準はないようです。

また、現在の元号は本号に該当することを理由に商標登録を受けることができません。

つまり「昭和」等の過去の元号を出願しても本号に該当しませんが、一方で「平成」は現在の元号ですので出願した場合本号に該当することになります。

天皇陛下が退位した場合元号も新しくなりますが、元号が新しくなると平成は現在の元号に該当しなくなるため、少なくとも本号には該当しなくなることが予想されます。

特許庁はどのように対応するのでしょうか。

4.2項

「前項第三号から第五号までに該当する商標であつても、使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるものについては、同項の規定にかかわらず、商標登録を受けることができる。」(3条第2項)

いわゆる使用による識別力の発生についての規定です。三号から五号のどこかに該当する商標であっても、特定の者が長年使用を続けた結果、商品やサービスの出所を表示する「目印」としての機能を獲得することもあり、このような商標を救済するための規定です。

一見すると一般名称といえるような商標や、よくある苗字、地名+商品またはサービスから構成される商標が登録されるている理由の一つに、本項の存在があります。

本項の適用を受けるためには全国的な「周知性」の立証が必要といわれています。

一般的に本項の適用を受ける場面としては、三号から五号のいずれかに該当するという拒絶理由を受けた場合の対応措置として、証拠を提出するのと併せて、意見書の中で全国的な周知性を獲得した商標である旨主張することになります。

また、周知性を獲得した商標と出願している商標とが一致している必要もあり、商標の一致はかなり厳格に判断されているようですが、その一方で、出願人と周知性を獲得した主体が完全に一致している必要はありません。

例えば、使用権者が使用した結果周知性を獲得したような場合でも本項の適用が認められます。

なお、一号、二号、六号には本項が適用されないのは、適用する必要が無いためです。

つまり、識別力を獲得した場合、もはや「普通名称」や「慣用商標」とは呼べなくなり、また六号でいう「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」にも該当しなくなるためため、本項の適用を受けなくとも登録要件を具備しているためです。

ファーイースト国際特許事務所
弁理士 秋和 勝志
03-6667-0247

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