キャラクターも商標登録が必要!著作権では守れない大事な資産とは?

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2016年12月12日更新

(1)著作権では保護できない

キャラクターに著作権はない

キャラクターといえば、くまモン、ふなっしー等のご当地キャラとか、アニメや漫画の主人公などを想い浮かべるのではないでしょうか。

我々が頭の中で把握しているそれぞれのキャラクターのイメージは、人間と同じように歩いたり、走ったり、横になったり、座ったり、自由自在に動くものであり、一つの固定されたイメージではないと思います。

ところがそれぞれの人が頭の中で想い浮かべるキャラクターのイメージそのものには著作権はありません。

オリジナルのキャラクターが描かれた原画とか、イラストの実在物が著作物であり、これらの原画とかイラストとかは著作権により保護されているので、勝手にコピーしてはいけない、というのが著作権法上の建前です。

またキャラクターの元画像の実在物が著作物であることは分かるにしても、それぞれのキャラクターの名前は、著作権では保護されないことは想像しにくいと思います。

キャラクターのネーミングは、著作権法上の著作物には当てはまらないからです。

著作権法とは

著作権法は、著作物とか著作者の権利を保護する法律です。考案されたキャラクターの原画とかイラストが著作権法で定める著作物であるなら、著作権により保護が受けられます。

無方式主義

日本の著作権法によれば、著作権の発生には、審査とか登録とかの認証手続は一切要求されません。著作物の完成に伴って著作権が発生します。

権利の発生に関して条件の要求がない法律上の制度のことを無方式主義と呼びます。

相対権

著作物が創作されると、著作物の完成に伴って著作権が発生します。この著作権の発生には、他の著作物を盗用した事実がなければ、他の著作物の存在の有無は一切考慮されません。

主観的に他人の作品を模倣していなければ著作権が発生しますが、こちらの著作物に対して独立して創作された著作物についてはこちらの著作権は働きません。近接した権利が複数独立して発生することから、著作権は、相対権と呼ばれます。

著作権は著作物の完成に伴って発生するため、他の誰からも権利発生について認証作業を必要としていません。このため簡単に権利が発生します。また、他人の作品を参照しないで独自に創作したキャラクターについては、それぞれ独立して著作権が認証されます。

これに対して商標権の場合は、先に登録されいてるキャラクターの登録内容に抵触する他者の似たキャラクターは登録されることはありません。登録商標は審査を経て、似たものがないことを確認した上で登録されるからです。似たものが他にはないことが保証される商標権のことを絶対権といいます。

手間と金額がかからない

著作権によりキャラクターを保護する場合、特段権利発生について認証作業が要求されないことから、手間と金額を要しないメリットがあります。

商標登録によりキャラクタ−を保護できますが、特許庁へ審査書類を提出する必要があり、また審査費用と登録費用とを特許庁に納付しなければなりません。

権利行使が難しい

著作権の場合は、他人がこちらの著作権を侵害した場合には、相手がこちらの著作権を侵害したことを著作権者が立証しなければなりません。

仮に侵害者がこちらの著作物について知らない、と主張した場合には、著作権者側は侵害者がこちらの著作物を知っていたことを証明する必要があります。

一般にこちらの著作物を相手が知っていたことを証明するのは困難ですので、著作権の場合は権利が簡単に発生するメリットがある反面、権利行使が難しいデメリットがあります。

同様の著作物であっても、別々に著作権が発生する可能性

著作権は著作物の完成に伴って発生するため、他の誰からも権利発生について認証作業を必要としていません。このため簡単に権利が発生します。また、他人の作品を参照しないで独自に創作したキャラクターについては、それぞれ独立して著作権が認証されます。

AさんとBさんとが、それぞれ相手の作品内容を全く見ないでそれぞれ出来上がったキャラクター画像が、たまたま互いにとても似ていた、とします。この場合でもAさんのキャラクターに著作権が認められる一方、Bさんのキャラクターにも著作権が認められます。

(2)キャラクターの商標登録の必要性

商標とは

商標は、文字、図形等で構成されるものです。もちろんキャラクター画像も商標として認められます。

先の著作権の場合と異なり、商標登録の場合は特許庁に権利申請し、審査を経て特許庁で登録されるのを前提として商標権が発生する方式主義が選ばれました。

審査を経て登録されるので、抵触する範囲では似た他の商標は後から登録されません。さらに似たキャラクター画像については、商標権のあるキャラクターを知らない場合でも商標侵害の事実があれば権利行使ができます。

このようにこちらの商標権を知っているか知らないかの主観的要件は必要とされずに商標権の場合は権利行使できることから、商標権は絶対権と呼ばれます。

商標登録が裁判の証明に

キャラクター画像の盗用問題が発生した場合、著作権のみの保護に頼った場合にはどちらがオリジナルかを決定することが困難です。本人がこの日に著作物を創作したと主張したとしても、誰からも認証されていなければその主張も信憑性が低くなるからです。

これに対して商標登録の場合はキャラクター画像の作品がいつ創作されたかについては、少なくとも商標登録の出願日以前にされたことは明かですから、商標登録をしておけば、どちらがオリジナルのキャラクター画像を創作したかについて争うトラブルを軽減することができます。

オリジナルの証明

商標登録されているものに似ているキャラクターとか、商標登録の済んでいないキャラクターであっても有名なもの等と類似のキャラクターについては商標登録は否定されます。

有名なキャラクターを模倣盗用したキャラクターは審査に合格できません。また審査を経て権利が発生していますので、審査を受けていない著作権のみの保護に比べてオリジナルの証明が比較的容易になります。

無断使用禁止

キャラクターに対して商標権が得られると、許可を得ていない者は勝手にそのキャラクターの登録商標を使用できなくなります。

商標登録された場合、登録商標を知らない人や、商標権があることを知らない人に対しても権利侵害があれば商標権を行使して差止請求や損害賠償請求も可能となります。

商標登録されているキャラクターの例


特許庁の商標公報・商標公開公報より引用


特に注意して欲しいのは、上記の登録例からも分かるとおり、全ての動きのパターンを登録していません。代表となる基本態様を決め、その中の一個を商標登録している点が参考になります。

(3)キャラクターの商標登録の方法

商標の検索

他人のキャラクターを参考せずに、独自に創作したキャラクターであっても、先に登録済みのキャラクターに似ていると商標権侵害を問われる可能性が残ります。

また、先に登録済みのキャラクターと類似のキャラクターは、権利の衝突により商標権が得られません。

商標権侵害のトラブル発生防止や、審査に合格できず商標権が得られないことを防止するためにキャラクターの商標登録に先立って商標を検索します。

キャラクターの商標検索に関して、特許庁のホームページにある、特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)を用いて、無料にて検索可能です。

出願態様を選ぶ

文字

キャラクターの画像が登録されても、文字を登録しないままではキャラクターの名前は保護されないままです。キャラクターの呼び名に対して保護が必要なら、キャラクターの呼び名の文字を商標登録するか検討します。

図形

キャラクターの図形を商標登録可能です。キャラクターのネーミングをキャラクター図形と合わせて商標登録することにより安い費用で商標登録可能なメリットが受けられます。

ただし、キャラクターの呼び名とキャラクターの図形とを一つにまとめたケースでは、キャラクターの図形にキャラクターの名前の限定がある、と解釈できます。このため、キャラクターの名前とキャラクターの図形とを別々に商標登録した場合と比べて権利が狭くなります。例えば、図形は似ているが、名前が全く違うので似ていない、と侵害者からの主張を受けるデメリットが生じます。

記号

記号も商標登録可能であり、キャラクター画像を記号と共に商標登録可能です。

立体的形状

平面の二次元の商標だけでなく、立体の三次元の商標も登録できます。このためキャラクターの立体的形状も立体商標との形式で商標登録できます。

立体商標と平面商標とを比べると、立体商標は使うと目立つというメリットがありますが、大量生産するのにコストがかかるデメリットがあります。平面商標なら簡単に印刷できますので、立体商標まではコストを必要としないです。

態様の組み合わせ

要素の組み合わせについてどうするかの制限はないです。

またキャラクターにポーズを取らせるとすると、どのポーズを登録するのか迷うと思います。

考え方としては、商品に最もよく表示するポーズを代表ポーズとして決めます。これをキャラクターデザインの基本として商標登録します。

迷う場合には有名キャラクターがどのような態様で商標登録しているか調べて参考にするのもよいでしょう。

原画を登録する

自分が考案したキャラクターについて、誰が最初に考案したかを証明する意味で、キャラクターの原画を商標登録するという方法もあります。この方法であれば、誰がキャラクターを考案したかは一目瞭然です。

役務の選択

展開するサービス・商品に合った役務を選択

通常キャラクターを用いて商売をする場合は、イベントとかショーをする場合が多いです。このためイベントやショーの役務である第41類の役務を指定します。

また指定商品に留意が必要です。キャラクターの商標登録のケースでは商品の指定とか役務の指定を間違えることがあります。キャラクターの場合、着ぐるみの指定を考えるかも知れませんが、通常、キャラクターを用いて商売をする場合、着ぐるみそのものを販売することは少ないと思います。

着ぐるみを商品に指定して安心していると、他の大切な役務の権利部分について第三者に横取りされるケースも生じることから注意を要します。

サービス・商品によって複数区分で出願が必要

キャラクターにより商品販売を考えるケースでは、それぞれの商品毎にあらかじめ決まっている区分を選びます。具体的には、おもちゃは第28類ですが、お菓子は第30類です。一つの区分により商標登録をすると全部の商品・役務をカバー可能と勘違いしてしまうことがありますが、実際は違います。キャラクターをどの業務分野に使うのかをリストアップして、漏れなく権利化を図ります。

複数役務出願の例

役務も複数指定して登録することができます。

例えば、イベントやコンサートの第41類に加えて、飲食物提供の第43類を一緒に出願することもできます。キャラクターを使って宣伝広告する事業であれば第35類も必要になります。

出願書類を書いて提出

最初にキャラクターを考案した場合であっても、現実に提出書面を準備して商標登録出願しないと、商標権者になることができません。

役所に対する手続は、書類を受理してもらえばそれで終わりの場合が多いですが、キャラクターの商標登録のケースでは、書類を特許庁に受理してもらっても終わりにはなりません。その後の審査を経て、費用を納付し登録があって商標権が生じます。

キャラクターの商標登録の料金

キャラクターの商標登録も通常の文字商標のケースと料金は変わりません。

ただし、どの範囲の商品・役務を指定するのか、いくつキャラクターを登録するのか等の登録態様によって費用は変動します。

キャラクターを使う商品とか役務はそれぞれ第1類から第45類までのどれかに属します。この類を区分といい、指定する区分の数が多いか少ないかに応じて費用が変わります。

キャラクター商標の調査費用

ファーイースト国際特許事務所では、無料でキャラクター商標を調査します。

キャラクター商標の料金

事務所手数料には別途消費税を要します。

表1 キャラクターの出願時の商標登録の料金

表2 キャラクターの登録時(5年)の商標登録の料金

表3 キャラクターの登録時(10年)の商標登録の料金

キャラクター商標の更新時の料金

表4 キャラクターの後半登録(5年)の商標登録の料金

(*現時点の料金です。またファーイースト国際特許事務所管理案件に特別割引があります)

表5 キャラクターの更新登録(10年)の商標登録の料金

(*現時点の料金です。またファーイースト国際特許事務所管理案件に特別割引があります)

料金の事例

図1に示したふなっしーのキャラクターの商標登録第5704292号を登録した場合の費用モデルケースです。

(*別途消費税がかかります。またこのケースはモデルケースであり、事例に応じて費用は変わります。)

(4)キャラクター保護に関連する法律

キャラクターは商標権や著作権により保護されますが、それ以外の法律でも保護されます。

意匠法

意匠法は、物品のデザインに対する権利です。商標登録の場合と同様、物品のデザインを図面に記載して願書と共に意匠登録出願をします。

新規なデザインであり、デザイナーが簡単に創作できたといえない意匠については、審査に合格して、登録を経て意匠権が生じます。

意匠権が得られたら、キャラクターのデザインの権利者が誰であるかについて裁判等で証明が容易になります。

ただし、意匠登録のケースでは実務上特許庁に受理してもらう書面を作って、審査を受けることまで要求される上に、出願時および登録時に特許庁に印紙代を払わなくてはなりません。結果的に意匠権取得までの間に時間と費用を要します。

また意匠登録できるデザインは、これまで知られていない新たなデザインであることが要求されます。こうした背景からキャラクターの商品公表前の申請が原則要求されます。

不正競争防止法

不正競争防止法は、商品形態を模倣した商品の販売を罰する法律です。いわゆるデッドコピーされた場合に有効にこの法律が働きます。

ただし、キャラクターの作品公表後3年以内に限り、適用が認められます。

注意すべき点は意匠法よりも類似商品の適用範囲が狭い点です。意匠法の場合は類似する意匠まで意匠権の権利範囲があるのに対し、不正競争防止法の場合は類似する範囲まで救済するとの規定がないからです。

不正競争防止法の利用の条件

不正競争防止法の場合は、特に役所に届け出たり、権利申請したりすることなく保護を受けることができます。

ただし、キャラクターが有名であることや、取引の場面で業務上の混同が生じている等の条件が要求されるため、不正競争防止法によるキャラクターの権利侵害にも一定の限界があります。

(5)まとめ

キャラクター画像は、完成した時点で著作権により保護されていますので、著作登録をしてもしなくてもキャラクターの創作者には著作権があります。

ただしこちらのキャラクターを知らない相手に対しては著作権は働かないため、似たキャラクターが出てきた場合は著作権だけの保護にも限界があります。

一方、商標登録のケースでは、先行登録者のキャラクターの権利に触れると商標登録が拒絶されますから、審査を通過したというとは先行登録者の範囲に触れなかったということです。つまり商標登録されたなら、後から商標権侵害のトラブルに巻き込まれることがなくなります。

特に大きなイベントに登場するキャラクターに対して商標権を必要な範囲で確保し、後からトラブルになることを未然に防止することができます。

ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘

03-6667-0247

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