「食品ロス」に立ち向かう商標たち

最近よく耳にする「食品ロス」。これは、まだ食べられる食品なのに捨てられてしまうという問題です。そこで今回は「食品ロス」を減らす取り組みに商標がどのように関わっているかを見ていきたいと思います。

「食品ロス」に立ち向かう商標たち

ファーイースト国際特許事務所の弁理士・弁護士

1.こんなに捨てられているんです!

農林水産省の発表によると、平成26年度の食品廃棄物(2,775万トン)のうち、621万トン(うち事業系339万トン、家庭系282万トン)がまだ食べられるもの、つまり「食品ロス」にあたり、これは2015年の国連WFP(世界食糧計画)による世界全体の食料援助量(約320万トン)の2倍近くあるとのことです。

と言われてもピンときませんよね。これを国民1人あたりに換算すると、日本国民全員が毎日ごはん1膳分(約134グラム)を捨てている計算になってしまうのだそうです。「ごはん1膳」と聞くと、「もったいない」実感が湧いてきませんか?

私自身もコンビニエンスストアでお弁当を購入しようとしたら「販売期間を過ぎているのでお売りできないのです。」と言われてしまったことがあります。決まりなので仕方ないかもしれませんが、お店の人も心苦しそうでしたね。なおそのお弁当は最後の1個だったのでとても欲しかったです・・・。

2.「食品ロス」を減らすために・・・

(1)政府による取り組み

国も「食品ロス」削減に動いています。内閣府,消費者庁,文部科学省,農林水産省,経済産業省,環境省の6府省庁で構成される「食品ロス削減関係省庁等連絡会議」が旗振り役となって「食品ロス削減国民運動」をすすめています。

これは、例えば事業者向けには販売期限と納品期限の緩和等の「商慣習の見直し」、消費者向けには食べ残し防止方法の提案や期限表示の説明といった、事業者・消費者の両サイドに食品ロス削減を促すための運動です。

そして「食品ロス削減国民運動」にはシンボルキャラクターがいます。

名前は「ろすのん」。商標登録もされていますよ。

ロスノンの登録商標

特許庁の商標公報より引用

  • 商標登録第5669697号
  • 権利者:農林水産省食料産業局長
  • 出願日:2013年10月2日
  • 登録日:2014年5月16日
  • 指定商品・役務:
    第29類「乳製品,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ」
    第30類「茶,コーヒー,ココア,菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,調味料,穀物の加工品,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,ラビオリ,パスタソース」
    第32類「清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,乳清飲料」
    第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,広告業,トレーディングスタンプの発行」
    第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,放送番組の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),放送番組の制作における演出,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。)」

農林水産省の担当部署に申請して認められれば、みなさんも「我々は食品ロス削減に積極的に取り組んでいる意思がありますよ」という印としてこの「ろすのん」を使うことができます。

(参照)
農林水産省
食品ロスの削減に向けて
〜食べ物に、もったいないを、もういちど。〜
http://www.maff.go.jp/
j/shokusan/recycle/syoku_loss/
attach/pdf/161227_4-37.pdf

(2)私たちができる取り組み(宴会編)

「食品ロス」の約半分は家庭から出ていますので、国や事業者の力だけでは「食品ロス」は減らせません。かといって忙しい毎日の中で難しいことは続けられませんよね。そこで政府や自治体・食品ロスの削減に取り組むいろいろな団体が、日々の生活の中で実践できるアイデアや情報を提供してくれています。

その中のひとつが宴会での食べ残し防止策です。

宴会での食べ残しは、ランチや定食等の約5倍もあるのだそうです。確かに宴会だと、全員が満足できるように料理を頼んだら多すぎて食べきれなかったり、話に夢中で気が付けばお開きの時間になってしまったりで、食べ残しが発生しやすい事情はありますね。

宴会での食べ残し防止策の主な内容は以下のようになっています。

  • 宴会前には、メンバーの人数や好みを考慮してお店やメニューをチョイスする。
  • 宴会開始から30分間はまず料理を楽しむ。
  • 宴会終了前10分間は残った料理の食べきりタイム。

これなら実践しやすそうですね。飲み放題・食べ放題だからといって、お開きの直前の大量の追加注文はナシですよ!

(参照)
消費者庁
今日から実践:食品ロス削減:啓発用パンフレット/応用編(平成29年9月版)
http://www.caa.go.jp/
policies/policy/consumer_policy/information/
food_loss/pamphlet/pdf/
adjustments_index_9_171006_0002.pdf

3.まとめ

日本のみならず世界中で「食品ロス」の問題が起こっている一方で、世界には栄養不良の人々が約8億人もいる(国連WFPのサイトより)という現実があります。

私たちが口にする食品には、命とともにたくさんの人の努力がつまっています。ほんの少し食品の大切さに意識を向けることだけでも、食品ロスの削減につながるのではないでしょうか。

それではまた。

ファーイースト国際特許事務所
弁理士 杉本 明子
03-6667-0247

よく読まれている記事

議論に参加する

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です