先生!そろそろお茶にしませんか。

つい先日、唱歌「茶摘」の「夏も近づく八十八夜」という聞き慣れたフレーズを耳にしましたが、コンビニエンスストアを含め、飲料品コーナーには新茶を謳う商品が並び始めています。皆さんは、そもそも八十八夜の由来をご存知でしようか。今回は、八十八夜の由来と併せて「お茶」について商標的に検討してみたいと思います。

先生、そろそろお茶にしませんか

ファーイースト国際特許事務所の弁理士・弁護士

1.八十八夜とは

八十八夜とは、立春から数えて八十八日目であることから「八十八夜」と名付けられました。

年によって日にちが変わり、2019年は、5月2日が「八十八夜」でした。

立春や啓蟄、春分といった二十四節気や五節句は有名ですが、このほかに季節の移り変わりを把握するために設けられた「雑節」というものもあり、八十八夜は雑節の一つです。

また、立春から数えて八十八日目に特別な意味を持たせた理由は、農業が主要な産業だったかつての日本社会では、ちょうどこの頃が種蒔きや田植えの本格的な準備、茶摘みなど春の農作業を行う時期だったからです。

昔の人びとはこの時期を「夏の準備を始める目安」考えていたからと言われています。

さらに、「末広がり」の姿をしている「八」の字は幸運を呼ぶとされており、その「八」の字が二つ重なった「八十八」は、それだけに縁起のいい日と考えられていました。

その上、「八」「十」「八」の三文字を組み合わせると「米」という字になるため、やはり農業に携わる人びとに大切にされてきたのだと言われています。

お茶の葉は、寒い冬の時期に養分を蓄え、春になると芽を出し始めます。

このため、一番は早く芽吹いた茶葉でつくった新茶は、その後に摘まれた茶葉でつくったものよりも栄養価やうまみが多く含まれています。

昔の人びとは経験からそれを知っており、「八十八夜に摘まれたお茶を飲むと健康に良い」などと言い伝えてきました。

2.商標的考察

ここで、商標的な話になりますと、「お茶」についての出願の相談を受けると、ちょっと頭を悩ますことあります。

ご存知の通り、商標権の効力は「商標」と「指定する商品またはサービス」によって決まりまります。また、特許庁へ出願した後は、指定商品の追加は認めらておりません。

つまり、出願時の指定商品は、願書に記載する商標と同じくらい重要になり、もし指定商品の記載を誤ると、商標登録を受けることが出来ても、その商標権では適切な保護が受けられないことになってしまします。

特許庁データベース「特許情報プラットフォーム」の商品・役務名検索を使用してみると、概ね下記のような検索結果がヒットします。

  • 第30類「茶飲料」
  • 第30類:「茶」(急須を使って淹れる茶)
  • 第31類:「茶の葉」(畑で摘み取っただけの未加工の茶葉)
  • 第32類:「茶入りの清涼飲料」
  • 第43類:「茶を主とする飲食物の提供」(イートイン形式の店内提供)

未加工の茶葉を主として取り扱っているという話はあまり聞きませんので、あまり大きな問題にはなりません。また、「茶」と「茶飲料」は同じ類似群コードが与えられているため、ここでもあまり大きな問題にはなりません。

しかし、第30類「茶飲料」と第32類「茶入りの清涼飲料」の違いとはいったい何なのでしょうか。

3.まとめ

ボトル入りのお茶の先駆者「お-いお茶」(株式会社伊藤園)は商品パッケージについて商標登録(商標登録第5471443号)を受けていますが、第30類と第32類の二区分を指定して登録を受けています。

また、サントリーが販売する「伊右衛門」(商標登録第4766195号)(商標権者;株式会社福寿園)も第30類と第32類を含む四区分を指定して登録を受けています。

全体的な登録状況を整理すると、ボトル入りのお茶の場合、概ね第30類「茶飲料」の一区分を指定して登録を受けている商標が多いようです。

出願が完了した後は、商品またはサービスの追加は一切認められません。

出願後に商品の追加が必要となった場合、別途新たに出願する必要があります。

別途出願して無事登録できればいいのですが、万が一、間に他人が類似する商標を出願していた場合には、後から商品については商標を使用できなくなる可能性があります。

このような事態を防ぐためにも、商標登録出願を行う場合には、商品をある程度広めに指定して出願した方がいいのかもしれませんね。

ファーイースト国際特許事務所
弁理士 秋和 勝志
03-6667-0247

よく読まれている記事

議論に参加する

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です