必殺技の商標登録でフジテレビより取材

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初めに

本年の平成28年1月19日に、株式会社バンダイから商標「必殺技」が出願されました。この点について先日、フジテレビから取材がありました。

ネットでは話題になっていますが、現時点では権利申請書類が特許庁に提出された段階です。ですので、これからしばらくして審査が始まる段階であり、商標権が発生したわけではありません。

「必殺技」という商標に権利が発生したわけでもないのに、なぜネットで現在話題になっているのでしょうね? 今回は商標「必殺技」の背景について解説します。

目次

商標「必殺技」が登録されたら?
商標権「必殺技」の効力範囲は、これだ!
「必殺技」は、どこまで使えるのか
商標「必殺技」でバンダイは何をしようとしているのか

商標「必殺技」が登録されたら?

バンダイが出願した商標「必殺技」が特許庁の審査に合格して、商標権が発生すると、「必殺技」という登録商標を使用できるのは、原則としてバンダイだけになります。

ではバンダイ以外の人は「必殺技」との言葉を使えなくなるのか?、もしそうなら他の人は困るじゃないか、ということになってしまいます。

実際はどうかというと、確かに第三者は「必殺技」との言葉を使えなくなる場合があるのですが、あらゆる範囲で使用の制限を受けるのかというと、実はそうでもありません。

商標法で定められている範囲で、登録商標「必殺技」の第三者の使用が制限される、ということです。

現在はまだ審査も始まっていない段階ですので権利化に向けて変動要素はあるのですが、以下では商標権が仮に得られたとして、話を進めます。

商標権「必殺技」の効力範囲は、これだ!

商標権の権利は、「審査に合格した登録商標と同じか類似する範囲」で、「審査合格の際に記載してある商品と同じか類似する範囲内」で発生しています。

あたり前の話ですが、登録商標「必殺技」と関係のない言葉を使用しても商標権の侵害にはなりません。

また今回のバンダイはおもちゃ等について権利申請していますので、おもちゃ等とは関係のないものにも権利の効力はおよびません。

ただし商標権に抵触する形で商標「必殺技」を使用すると、懲役10年以下、個人の場合は罰金1000万円以下、会社の場合は罰金3億円以下ですから、商標権の存在を軽く考えないようにする必要はあります。

仮に商標権が発生したとしても、その地雷地帯に踏み込まなければ商標権侵害の問題は発生しません。

以下に商標権という地雷に触れる場合と触れない場合について説明しますので、注意してきいてくださいね。

「必殺技」は、どこまで使えるのか

1)事業者の間で侵害問題が生じます

ですので、商標権の効力に縛られるのは「事業を行っている人」、です。仮に「必殺技」について商標権が発生したとしても、商売とは全く関係のない商標の使用までは、商標権の効力はおよびません。

商売をしていない一般の方は、「必殺技」の言葉が使えなくなったらどうしよう、という心配をすることは不要です。

ただし注意点があります。

本人は商売をしているつもりはなくても、例えば個人ブログに広告が表示されている等の場合、広告を通じて事業者と関係があるとみられます。この場合は商標権侵害の影響が及ぶ場合がありますので気を付けてください。

2)商品の表示名として登録商標「必殺技」を使う場合に侵害問題が生じます

ものすごくかみ砕いていえば、おもちゃ等が詰められてる箱に、「必殺技」の言葉を商品表示として記載した場合に、商標権侵害の問題が生じます。

ですのでおもちゃ等との関係がなくなると商標権侵害の問題は生じないです。

例えば、黒板やノートに「必殺技」との言葉を使うのは商標権の侵害にはならないです。

もちろんメールやラインで「必殺技」との言葉を友達との間で使うのも自由です。

商標が商品に表示してあって、商標が表示されている商品が、ちゃんと他の商品と区別できるようにされていることが商標法上の商標として扱われるための条件です。

例えば電池があったとして、その電池に全く装飾がない場合には、その電池だけをみてもどこのメーカーが作った電池か分からないです。

その電池に「ソニー」と表示があればソニー製だと分かるし、「パナソニック」と表示があればパナソニック製だと分かります。

上記のように、どこどこ製だと分かる手がかりが商標です。

「おもちゃ等」について、「どこどこ製だと分かる手がかり」として商標が使われていないと、商標権侵害にならない、ということです。

3)目で見て認識できる商品表示の場合に侵害問題が生じます

商品タグとか、商品の箱に実際に目でみて認識できる形で登録商標「必殺技」が使用されていない場合には、商標権侵害の問題は生じないです。

例えば、おもちゃの怪獣が「必殺技だ〜!」と叫んだとしても、それは音声であって、バンダイが申請した形の商品表示ではありませんので、権利の効力外になります。

もちろん人間が「必殺技」との言葉を口に出していう場合については商標権侵害の問題は全く発生しません。

商標「必殺技」でバンダイは何をしようとしているのか

商標「必殺技」についてバンダイが商標権を取得しようとしているのは、他人に「必殺技」との言葉を使わせないようにするためだ、というのは言い過ぎであると私は思います。

そもそも商標権は事業者間の権利調整のために働くものであり、日常の会話で使われる言葉とか、説明の言葉としての「必殺技」を禁止する効力までは商標権にはないからです。

バンダイ以外の会社が、「必殺技」との商標を使ってまがいものの商品を販売してきたときに、はじめて効果がでる権利が商標権です。

やはり「必殺技」は、一般大衆に向けて放たれるものではなく、悪い奴を倒すために使われるものである、と理解してよい、と思います。

ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘

03-6667-0247

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