2ちゃんねるの商標登録の解説でFM東京ラジオに生出演

初めに

FM TOKYO 2016年5月17日放送、高橋みなみさんのラジオコーナー「これから、何する?」に出演しました。今回は西村さんの「2ch」等の商標登録について生放送で解説です。AKB48を卒業した後も元気いっぱいのタカミナさんと私とのラジオコーナーでのやりとりは、お昼過ぎの13:20頃からオンエアされました。

索引

(1)商標「2ch」はなぜもめた?

西村氏の商標「2ちゃんねる」についての商標登録の経緯

以前、インターネット巨大掲示板「2ちゃんねる」を運営していた西村氏の商標登録の経緯は次の通りです。

(A)商標「2ちゃんねる」(商願2013-8081)について

出 願 日 :2013年1月25日(権利申請)
拒絶査定  :2013年12月3日(審査不合格)
不服審判請求:2015年2月26日(審査不合格の取消を請求)
審   決 :2016年3月23日(審査不合格を取り消して、審査合格とする審決)

(B)商標「2ch」(商願2014-23406)について

出 願 日 :2014年3月27日(権利申請)
拒絶査定  :2014年12月3日(審査不合格)
不服審判請求:2015年2月26日(審査不合格の取消を請求)
審   決 :2016年3月23日(審査不合格を取り消して、審査合格とする審決)

上記の通り、特許庁の審査の結果、一度は審査不合格となった商標「2ちゃんねる」と「2ch」のそれぞれが審判手続により審査に合格する結果となっています。

(C)商標「2ch」はなぜもめた?

インターネット巨大掲示板「2ちゃんねる」を立ち上げて運営していた西村氏ですが、その後、インターネット巨大掲示板「2ちゃんねる」の運営を第三者に譲っています。

そうすると特許庁から見た場合、「2ちゃんねる」を運営しているのは西村氏ではないことになります。形式的には、「2ちゃんねる」を運営していない者が商標権を独占するのはおかしい、ということで一度は審査に合格できない結果になっています。

しかし不服申立の審判の中で、形式的には西村氏は現在「2ちゃんねる」を運営していないかも知れないが、西村氏が実質的な運営者である点に変わりはないとして審査不合格を取り消して、審査に合格させる結論に落ち着いています。

(2)商標「2ch」を使うと権利侵害になるの?

今回、西村氏が取得する商標「2ちゃんねる」と「2ch」についての商標権は、オールマイティにこれらの言葉を独占できる権利ではなく、あくまで権利申請時に指定した業務範囲内に限って独占使用ができる内容の権利です。

西村氏の商標権は、インターネットの電子掲示板に関連する業務について権利を取得したのであって、インターネットの電子掲示板に関係がない文房具とか、おもちゃとか、服とかの商品についての権利までは今回取得していません。

このため文房具とか、おもちゃとか、服とかの、権利申請をしていない商品について、商標「2ちゃんねる」や「2ch」を使用しても西村氏の商標権を侵害することにはなりません。

ただし、西村氏の商標権以外に、第三者によって登録された「2ちゃんねる」についての商標権が別にあります。このため、商標「2ちゃんねる」を使って特定の商品を販売すると商標権を侵害することになる場合があります。

なお商標権は、事業者同士を規制する法律です。このため商売とは全く関係がない行為についてまで商標権侵害だからやめなさい、といわれることはありません。

例えば、友達同士で、「2ちゃんねるにおもしろい記事が出ていたよ」とかの情報をラインやフェイスブックなどでやりとりする行為とか、「2ちゃんねる」についての会話とかまでは商標権の効力は及ばないです。

(3)西村さん以外が商標「2ch」について登録できる可能性は?

商標登録は商標を使った者が権利者になる制度ではなくて、先に特許庁に商標登録の手続をした者が商標権者になる制度になっています。

このため、仮に西村氏や、実際に「2ちゃんねる」のネット掲示版を運営している関係者以外の第三者が商標登録をした場合、理論的にはその第三者が商標権を取得してしまう可能性もあります。

ただし商標法には商標が有名になった場合には、有名にした当事者以外には商標登録は認めないとの規定があります。このため、有名な商標については、たまたま商標登録されていなかったから誰でも商標登録できるか、というと、そんなことはありません。有名な商標の場合は当事者のみが商標権者になることができます。

(4)商標にはどんなものがあるの?

今回の西村氏の商穂は文字商標でしたが、登録される商標は文字だけに限定されません。自動者のベンツマークやフェラーリのマークの様に、文字情報のないマークも登録の対象になります。

またペコちゃん人形のような店頭人形等も立体商標として登録の対象になります。

さらには、インテル入っているのCMの音声も音の商標として登録の対象になります。

(5)商標の制限は?

特許庁に権利申請すれば審査に合格できるというわけではなく、もちろん特許庁の審査に合格する上で制限があります。

法律上は数多くの制限があるのですが、代表的なものには大きく二つがあります。

(A)みんなが使っている一般的な商標は登録できません

マッサージの業務に「マッサージ屋」との商標とか、野菜の販売に「八百屋」とかの商標は、特許庁に権利申請しても審査に合格することができません。

これらの商標はみんなが使う必要のある商標であり、一人に独占させなければならない理由がないからです。

またみんなが使う必要のある商標に東京や大阪等の地名を付け加えても、やはり特許庁の審査に合格することができません。地名を付け加えても、みんなが使う必要のある商標である点に変わりはないからです。

(B)他人の権利と衝突するような商標は登録できません

既に登録されている商標と権利範囲がぶつかる範囲のある商標については、特許庁の審査に合格することができません。同じ範囲に対して二名以上に商標権を与えてしまうと、商標を独占的に使用できるはずの商標権の制度運用に矛盾が生じるからです。

また実際に同じ範囲に対して二名以上に商標権を与えてしまうと、当事者同士で争いが生じてしまいますし、社会的な混乱が生じてしまいます。こんな状態が起きるのは未然に防ぐ必要があります。

(C)上記以外の制限

日本の商標法に定められた手続により取得した商標権の効力は、日本国内にしか及ばない制限があります。このため中国で商標権が必要であれば中国で商標権を取得する必要がありますし、米国で商標権が必要であれば米国で商標権を取得する必要があります。

要は、それぞれの国で商標権の取得手続を行う必要があります。

ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘

03-6667-0247

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