商標権等の侵害警告にはどう対応したらいいですか?

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(1)商標権侵害の警告

不登録商標の使用のリスク

事業者がビジネスを行う場合、商品やサービスを供給することになりますが、自社の商品やサービスが他社のものと区別できるようにする必要が生じます。区別のため使用するのが「商標」であり、商標はビジネス活動と切っても切り離せない関係にあります。

商標を使用する際、公的機関の許可は特に必要ないため、自社で思いついた商標を気軽に使用している例が散見されます。

ただ、商標を無闇に使用すると、第三者の商標権を侵害するリスクにさらされることになります。

商標の使用に際し、公的機関の許可が必要なくとも、第三者の商標権を侵害することは許されず、第三者の商標権の存在を知らなかったことを理由に免責されることはほとんどありません。

商標権侵害のリスクを減らしたいのであれば、特許庁において商標登録を受けてから商標を使用するのが基本といえます。

商標登録出願を行うと、出願商標は特許庁において第三者の登録商標との類否も含め、審査を受けることになります。

登録を受けた商標は、原則として第三者の登録商標と非類似のものであると考えることができるため、登録商標を使用する限り、第三者の商標権を侵害するリスクは比較的低いといえます。

ただ、残念ながら、商標登録の重要性が広く認識されているわけではありません。日本の企業のほとんどは中小企業であるところ、中小企業のうち、2018年に商標登録出願を行ったのは、約3万社に留まります。

これは全中小企業の数の1パーセントにも足りません。

圧倒的に多数の事業者が商標登録を受けずに商標を使用しているものと推察されます。

警告と確認

第三者の商標権を侵害すると、通常、警告が届きます。

警告は、電子メールやビジネスレターの形式で送られてくることもあれば、内容証明郵便で送られてくることもあります。

また、商標権者等の本人から送られてくることもあれば、弁護士・弁理士といった代理人から送られてくることもあります。

商標権者等は、商標権侵害の捉え方により、警告の形式や差出人を選択した上、警告を送りますが、警告を受けた者としては、警告の内容を踏まえ適切に対応する必要があります。

警告には、通常、以下の項目が記載されています。

  • 登録商標の登録番号
  • 商標使用が商標権侵害となること
  • 商標の使用中止の要求

また、侵害品の販売数量等の報告を要求するものやライセンスの用意があると伝えるものもあり、商標権者等の要求を把握することが必要です。

警告を受けた場合、まずは、登録商標の状況を確認することが必要です。

警告に記載されている登録番号を手がかりとして、登録商標の状況を確認します。

登録商標の状況は、独立行政法人工業所有権情報・研修館が運営する「特許情報プラットホーム」(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/)を利用すれば、無料で確認できます。

特許情報プラットホームを利用して、登録商標、指定商品等、商標権者などの情報を閲覧し、商標権者等の主張と矛盾がないか確認するようにしてください。

次に、自社の商標の使用状況を確認します。

自社のいずれの商標の使用が商標権侵害と指摘されているのか確認することが必要です。

問題の商標が分かれば、問題の商標を使用している商品・サービスの販売数量、販売額、販売先などを確認します。

(2)専門家への相談

専門家との日程調整

警告が届いた後、基本的な事項を確認したら、対応を検討する必要があります。

警告が届いたことに狼狽し、商標権者等にあわてて連絡をとろうとする方もいらっしゃいますが、商標権者等の主張が必ずしも正しいものとは限らない以上、事実関係や法的な問題点をよく整理することが必要であり、専門家への相談が望ましいといえます。

専門家に相談する場合、事実関係がシンプルであれば、メールや電話で相談することも可能でしょうが、基本は面談で相談する必要があります。

面談の場合、一般的な事務所であれば、アポイントメントが必要であり、日程調整が必要となります。

警告には回答期限が設定されるのが通常であり、日程調整が必要であることに鑑みれば、専門家へは速やかに連絡しなければなりません。

回答期限が1週間などと短い場合には、検討に時間を要するため、少し待ってほしいと商標権者等に伝えておくとよいでしょう。

資料の用意

専門家との面談には関連性がありそうな資料は全て持参するようにします。

警告の写しや重要と思われる資料については、面談に先立ち事務所に送付しておけば、相談がスムーズに進むと思われます。

用意する資料としては、上述した商標の使用状況に関するものや、自社と商標権者側との間で関係があった場合には、関係を裏付ける書面など様々なものが挙げられます。

警告への対応を専門家に依頼する場合、資料の探索と提出を専門家から随時求められることになりますので、留意しておくことが必要です。

(3)商標権者等への回答と対応

専門家との相談に基づき対応方針を決定します。

商標権者等の主張を大筋で認めて商標の使用を中止するにしろ、商標権者等の主張に反論するにしろ、商標権者等に回答しなければなりません。

回答は自社で行うことも専門家に依頼することも可能ですが、専門家に相談した結果、争う余地がなく、商標の使用を中止せざるを得ないといった場合を除けば、専門家に依頼するのが無難といえます。

商標権者等の主張に反論すると、多くの場合、商標権者等から再反論の書面が届きますが、書面のやり取りから、歩み寄りの余地が生じれば、交渉事件となることもあります。

専門家に回答を依頼するに際しては、交渉事件となった場合の対応も依頼するのか考えておくのもよいでしょう。

他方、自社と商標権者側との間で調整がつかなければ、最終的には、裁判所において決着をつけなければなりません。

裁判は、金銭面でも時間面でも、大きなコストとなるので、争う場合には、裁判のコストに留意する必要があります。

(4)費用

費用の目安

対応費用目安:臨時雇用する人数×雇用期間×単位時間当たりの雇用費用

商標権の侵害対応費用の目安として、対応に要する期間中、企業の法務部専門要員を自社に派遣してもらうときに発生する費用を考えるとよいでしょう。

弁護士による対応を最初から考える

弁護士に対応を依頼すると費用がかかるため、弁護士への相談を避けることを考える人もいると思います。

一方で、後になってから訴訟に発展した場合に、代理人を立てて対応する場合には弁護士に対応を依頼する必要があります。

最終的に弁護士に対応を依頼するなら、回り道をして弁護士以外に費用を支払う必要がなかったのでは、という考え方もあります。全体を見渡した上で、弁護士に相談するかどうかを判断しましょう。

相談費用

警告を受けた際、弊所にご相談いただく場合、相談費用は概ね以下のとおりとなります(費用はいずれも消費税別のものとなります。)。

事務所における相談業務の費用(面談) メールによる相談業務の費用
30,000円/1時間以内 10,000〜20,000円/1往復(※通常の分量)

商標権に関する問題は、事実関係が複雑となるケースがままあるため、基本的に面談によりお話しをお伺いすることになります。

他方、弊所から遠方に位置するなど、面談が難しい場合には、事実関係がシンプルであれば、メールにより対応することも可能です。

メールによる場合、通常の分量(相談者のメールを印刷した場合用紙1枚に収まる程度)であれば、上記のとおり、1~2万円となります。

回答書の作成費用

相談と検討を経て、弊所に回答書の作成をご依頼いただく場合、費用の目安は、以下のとおりとなります。

回答書の作成・送付
80,000~円/1通

なお、回答書の送付は、内容証明郵便によるため、別途、実費の負担が生じます。

交渉事件・裁判の費用

交渉による解決が可能であれば、交渉事件として、事件処理のご依頼をご検討いただくことになります。

交渉事件の費用は、主に、着手金と報酬金とからなります。

また、移動による時間的拘束が生じる場合、日当をご負担いただく他、交通費等の実費のご負担も生じることになります。

交渉事件の費用は、通常、事件の経済的利益により上下します。

ただ、商標権侵害事件は、その初期の段階では、経済的利益の額の算定が困難な場合も少なくないことから、事案の難度や依頼者のご希望などを勘案の上、お見積りを提示させていただくことになります。

同様に、裁判の費用も、個別の案件の内容によるため、諸事情を踏まえ、お見積りを提示させていただくことになります。

ファーイースト国際特許事務所
弁護士 都築 健太郎

03-6667-0247

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