日テレnewszeroからサムスンのシュプリームコラボ問題について取材収録

無料商標調査 商標登録革命

(1)韓国のサムスンはシュプリームとのコラボを発表したが

本家本元側は全面否定

韓国のサムスンは中国での新型スマホ発表の際にサプライズ情報として、アパレルブランドとして有名なシュプリームとコラボする、と発表しました。

ところがそんな話は聞いていないと、本家本元のシュプリーム側は全面否定。本家本元に無断でコラボとは、一体どういうことでしょうか。

(2)商標権で規制できるのは権利が取得された国だけ

商標権で訴えるためには国ごとに権利を取得する必要あり

アパレル分野にシュプリームとの商標が登録されている場合には、アパレル分野に無断でシュプリームの登録商標を使うことができません。

ただし商標権の効力は、その権利を取得した国内にしか及びません。一つの国の法律の効力が及ぶのは、条約で別に定めがある場合を除いて、その国の領域に限られるからです。

例えば米国で商標権を取得した場合、その商標権の効力が届くのは米国国内だけです。同様に韓国で取得した商標権の効力が届くのは韓国国内だけであり、中国で取得した商標権の効力が届くのは中国国内だけです。

よその国で商標権が得られたから、当然に外国でその商標権の効力を主張できるか、といえば、主張できないです。この点については商標権等の産業財産権に関する国際条約である「パリ条約」で規制されます。

ですので、商標権に限っていえば、商標権が取得されていない国であれば、無断でブランド商標を使われても商標権侵害では訴えることができないです。

一方、多くの国は他国で有名な商標は登録しないとの商標法上の規定があります。このためたまたまある国で登録されていないからといって無断で他人の有名な商標権をその国で取得できるわけではありません。

(3)商標権がなければ使い放題?

商標権がなくても不正競争防止法で使用が制限される

では商標権が存在しない国なら、有名なブランド商標でも使い放題なのか、というと、そうでもありません。

各国には不正競争防止法や、これに相当する法律があります。

不正競争防止法により、他人の有名な商標は無断で使うことができないことになっています。有名な商標はそれ自体が財産としての価値や信用を持つものです。たまたま商標登録されていないからといって他人に無断で使用されると、
有名な商標の価値や信用を横取りされてしまいます。これを防ぐのが不正競争防止法です。

ですので、商標権が取られていない国なら登録商標を使っても大丈夫、と考えるのは危険です。

ちなみに、不正競争防止法の保護を受けることができるのは有名な商標であることが前提であり、知っているかどうかを聞かれても消費者が知っていると答えることができない程度の商標は不正競争防止法では保護されません。

このため商標登録しなくても法律の保護が受けられるわけではありません。有名でない商標の場合は商標権を取得しないと保護されない、ということです。

つまり、法律上の保護を受けることができるかどうかは、対象となる商標が有名であること、つまり需要者に広く知られているかどうかが判断基準になります。

商標が有名かどうかは、特許庁の審査官、審判官、裁判所の裁判官が、需要者の立場に立って、需要者に広く知られているかどうかを証拠に基づいて頭の中で考えて判断します。

このため商標が有名かどうかの判断は、審査官や裁判官自身の個人的な主観で決まるわけではありません。

(4)法律以前に偽ブランドとのコラボはいかがなものか

どの企業も恥じる必要のない道を歩こう

日本基準でいえば、偽ブランドとのコラボは考えられないです。

仮に日本の百貨店や有名企業が、偽ブランドとコラボすると発表したとすれば、ネットで炎上するのは間違いないと思います。仮にこのような発表をすればイベントを盛り上げるどころか、逆に日本で信用を失う結果になると私は思います。

偽ブランドとのコラボを考える前に、企業としての品格とは何かについて、想いを寄せて欲しいです。

(5)まとめ

その後、韓国のサムスンはフェイクブランドとのコラボを取りやめることを発表しました。

せっかくの新型スマホ発表のサプライズ企画のはずが、これでは何のために新製品リリースイベントをしたのかも分かりません。

韓国のサムスンはフェイクブランドとのコラボを発表することにより、ネットで意図的に炎上させ、話題性を広げることを狙ったのでしょうか。

仮にそうであったとしても、発表すればのちのちどうなるかを考えることが先決でしょう。

ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘

03-6667-0247

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